イビツ (ar×in) (ページ20)

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｢大丈夫ですか？｣
｢わっ…｣

意識が飛びそうになった瞬間、視界が揺れ、誰かに体を支えられた。

｢…！｣

助けてくれた人の顔を見て、有岡は唖然とした。

その綺麗な顔立ちに、思わず数秒見とれてしまっていたのだ。

｢あの…大丈夫、ですか？｣
｢あっ、はいっ…！すみませんっ、ありがとうございますっ…！｣
｢よかった……少し涼しくなってきましたけど、水分補給はしっかりしてくださいね？｣
｢え、これ…｣

渡されたのは、冷えたスポーツドリンクのペットボトル。

｢よかったらどうぞ。お昼からお疲れ様です｣

"…見てくれてたんだ…誰も自分のことなんて気付かないと思っていたのに…俺のこと、見てくれる人がいたなんて…"

｢…同じ大学の人、かな…｣

"…名前も、年齢も、恋人がいるかすら分からない。
俺のことなんて忘れているかもしれないのに…

それなのに……ただ、もう一度会いたくて"

次にその人を見かけた時には、隣に彼女がいた。
その光景を見た瞬間、有岡は確信した。

"ああ…会うだけじゃ足りない。
その優しい微笑みを俺に向けて欲しい。

ずっと…俺だけに____"