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「……なん、なの……いきなり……」
"俺が泣いたのがいけなかった?
あいつに話しかけなければよかった?
…どちらにせよ、
俺の意思も聞かずに勝手に始めたくせに、いらなくなったら勝手に終わるなんて、あまりにも残酷すぎる "
「…なんで、
なんで泣いてんの、俺っ…」
伊野尾はとめどなく涙が溢れ出てくるのを抑えきれず、ベッドにうずくまりながら嗚咽を漏らす。
"…ああ、俺、自分でも気づかないうちに…
有岡くんのこと、好きになっちゃってたんだ。
…俺はいつもそうだ。
今更気付いたって、もう何もかも遅いのに…"
「…ばかっ…」
.
ホテルを出た後、電車で揺られながら有岡は考えていた。
"…こんな筈じゃなかった。
悲しませたい訳じゃなかった。
ただ、俺の隣で笑っていて欲しかっただけなのに…"
今更後悔しても仕方ないのに、今まで自分がしてきたことに嫌気がさす。
ふと、初めて身体に触れた日に伊野尾から言われた言葉を思い出した。
『っ…最低…』
「…ふ……最低なのは、元々か…」
"…俺、いつから間違えてたんだろ…"
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作者名:むにこめ | 作成日時:2022年11月28日 22時