Bouquet. ( ar×in shortstory )

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in side .



｢ごめんなさい。俺には、大ちゃんがいるから｣


放課後、違うクラスの女の子から告白された。

前に学校のマドンナを振ってから何故か告白される機会が増えて、その度に正直に丁寧に断っている。


｢え、大ちゃんって…弟のこと？
私と付き合えないのに何の関係が、｣

｢ごめんね。でも、俺には大ちゃんしかいないから｣

｢…意味、分かんない……伊野尾くん、オカシイよっ…｣


涙目になり走り去って行く女の子。
罪悪感が湧かないわけじゃない。だけど、本音だから。


｢…"オカシイ"なんて、俺が1番分かってるよ…｣

それでも、大ちゃんが俺の全てだから。


｢…早く帰んなきゃ｣

大ちゃんとは学年が違うから、学校では殆ど会えない。


…早く会いたい。
会って、抱き締めて、今度こそスキだって伝えたい。

なんだか今なら、言える気がする。

ふわふわと浮き足立ってその場を後にした。


…だから当然、さっきの光景を見て複雑な表情をしていた弟には、気づいていなかったんだ。



.



｢ただいまっ、大ちゃんっ｣
｢おかえり｣


あの後先生に用事を頼まれて、帰るのが少し遅くなってしまった。小走りで家に帰り着くと、リビングのソファに座ってスマホをいじる大ちゃんの姿。

俺が近づくとスマホから顔を上げ、両手を握られたのでそのまま並んでソファに座った。


｢…ねえ、慧｣

｢なぁに、大ちゃん｣

｢慧は……俺のこと、スキ？｣

｢！！！｣


まさかの大ちゃんから聞いてきた…！？
…これは、チャンス、だよね…


｢うんっ…スキ、スキだよ…！｣


予想外の出来事に驚きつつも、自分の気持ちを精一杯伝えた。

うわ…言葉にしたら急に恥ずかしくなって俯いちゃった…どうしよう、今更顔上げられない…！

……大ちゃん、どんな顔してるのかな

意を決して、チラッと大ちゃんの表情を確認してみる。


｢え…だい、ちゃん？｣


なんでまた、そんなに寂しそうな顔をするの…？



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