Another Story ( in side ) ページ33
(同棲前のお話)
大ちゃんと恋人になって半年が過ぎた。
今は二人で雑誌の撮影中。
肩が触れ合えるくらい、耳に吐息がかかるくらい
こんなにも近くにいるのに、時々不安になる。
…大ちゃんは、本当に俺のこと好きなのかなって。
大ちゃんはプロ意識が高くて、仕事中は基本塩対応だし、隣にいても、自ら肩すら抱いてくれない。
俺からくっつくと眉間にシワを寄せて、"今は駄目"って目で訴えてくる。
…仕事に支障が出たって伊野ちゃんと一緒がいい〜なんて言ってたのはどこのどいつだよ。全く…
｢…伊野ちゃん？｣
俺の顔を覗き込む大ちゃんの顔を見て、ハッとする。
…ああ、俺、欲張りになったんだ。
付き合い始めた頃は、好きって言われるだけで幸せだったのにね。
" 慣れ " って、怖いな…
｢元気ないけど…まさか体調悪い？｣
｢いや？ちょっと寝不足なだけ。｣
｢そっか、無理しちゃだめだからね。｣
｢あはは、分かってるって。｣
…やめよう。ネガティブに考えるのは。
大ちゃんは俺を選んでくれたんだ。
大ちゃんは…俺のものなんだ。
そう考えたら、不安も少しは和らぐ。
俺の中での大ちゃんの存在はこんなにも大きいものなんだと、改めて思い知った。
…そうだ、撮影が終わったら、久しぶりに飲みに誘おうかな。
なんて、相変わらず大ちゃんのことで頭をいっぱいにしながら撮影に挑んでいた。
.
｢俺、明日からしばらく京都なんだよね。｣
朝早いから今日はパス！って、いつもの笑顔でそう言うから、開いた口が塞がらなかった。
｢…あ、そうだったっけ…撮影？｣
｢そう。今撮ってる映画の。｣
今撮ってる映画…
…大ちゃん主演のラブストーリーのやつ、ね。
ギュ、ときつく拳を握り、唇を噛んだ。
｢…いーなあ大ちゃん、俺も京都行きてー。｣
｢京都何年ぶりだろ、実は楽しみなんだよねー！｣
｢じゃーあ〜…お土産、よろしくね。｣
｢任せとけって！｣
じゃあねとだけ言って、俺の頭をポンッと撫でて大ちゃんは去っていった。
｢…それだけかよ。｣
…そんな大事なこと、もっと早く言ってよ。
そりゃ付き合う前だったら分かるんだけど、俺達仮にも恋人同士なんだよね？ちょっとくらい寂しがってくれてもいいんじゃない？
…それに、明後日は俺の……
｢…ありおかの、ばかやろー。｣
.
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むにこめ(プロフ) - ランチさん» ランチさん！コメントありがとうございます…！25ページあたりから結構悩んで時間をかけて書いたので、そう言っていただけてとても嬉しいです…！！残り数話ですが、よろしくお願いします(^-^) (2020年3月13日 8時) (
レス) id: 467faef54a (このIDを非表示/違反報告)
ランチ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！すごすぎます。二人の一言一言に泣かされます。25頁あたりからキュンキュンの連続でした。本当に大好きです。番外編楽しみにしています！ (2020年3月12日 22時) (レス) id: a8df699084 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むにこめ | 作成日時：2020年3月10日 21時
