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シャーペンの音と先生の声だけが教室に響く。
俺は毎回、国語の授業開始十分もすれば眠気が襲ってくる。
…やべ、ねみぃ…
寝てもいいかな？どうせ伊野ちゃんと話さないし、先生も気づかないからいっか。
そして俺はいつものように机の上で片肘をついて、寝る体勢に入った。
…伊野ちゃん、なんかいい匂いするな…
そんなことを思いながら眠りにつこうとした時、隣から気を遣うように、小声で話しかけられた。
伊｢あり、おか…くん、｣
有｢…えっ？な、なに？｣
びっくりした。さっきまで素っ気なかった伊野ちゃんが、俺の名前を呼んでいる。
これは夢か？俺今もう夢の中にいるの？
…いや、違う。
ほんのりと伊野ちゃんの甘い香りがする。現実だ。
伊野ちゃんは、顔の横に手を当てて言った。
伊｢…ページ、巡ってもいい？｣
…え、なんだそんなこと！？勝手に巡っていいのに…
有｢全然いいよっ｣
そう答えると、彼はこくんと頷いて、ゆっくりページを巡った。
先｢有岡っ！！｣
有｢はっ、はいっ！？｣
次の瞬間には、先生から大声で名前を呼ばれた。
先｢次お前だろ、さっさと読みなさい。｣
有｢あ…｣
どうやら教科書を読む順番が回ってきたらしい。
どこだろ、と少し焦りながら教科書を見ると、ある行に伊野ちゃんの綺麗な人差し指が置いてあった。
…もしかして、｢ここから｣って教えてくれてる…？
伊野ちゃんのおかげで、先生に怒られることなく教科書を読み終わることができた。
授業の終わりのチャイムが鳴り、机を離そうとした伊野ちゃんに慌てて声をかける。
有｢伊野ちゃん！さっきは、教えてくれてありがとう！｣
伊｢…うん。｣
…やっぱりなんだか素っ気ない。
しょうがないかと思い自分も机を離すと、なんだか少しだけ寂しいかも、なんて思ってしまった。
伊｢…あの、さ｣
有｢へっ？｣
伊野ちゃんが俺を見てる。
今度は困ったような顔じゃなくて、なんだか…頬が少し赤いような…？
伊｢……見せてくれて、ありがと。｣
伊野ちゃんは、それだけ言うと席を立ってどこかに行ってしまった。
有｢…へへっ｣
ただお礼を言われただけなのに、なんだかすごく嬉しくて、一人でにやけてしまう。
俺のその姿を見た知念が、蔑んだ目でこちらを見ていたのは言うまでもない。
…前言撤回。
やっぱりもっと、伊野ちゃんと仲良くなりたい。
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むにこめ(プロフ) - mapiiさん» コメントありがとうございます！面白いなんて、嬉しいです…！もっと楽しんで頂けるように頑張りますね^^* (2017年4月15日 0時) (
レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
mapii(プロフ) - すごく面白いです……！彼女さん……どんまいだ。有岡くんの嘘と、伊野尾くんの秘密がこれからどうなっていくのか、とても楽しみです。続き楽しみにしてます！頑張ってください！ (2017年4月13日 18時) (レス) id: b71e8cca2b (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - 明 日 音。さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです(´；ω；｀)頑張ります！ (2017年4月6日 23時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
明 日 音。(プロフ) - むにこめさんのありいの大好きです！続き応援してます♪ (2017年4月6日 21時) (レス) id: 622c57b769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むにこめ | 作成日時：2017年3月24日 23時
