二十頁 ページ21
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…伊野ちゃん、今なんて言った…?
俺のことが……好き……?
有「…俺も…好き、だよ…?」
伊「ちがっ…そーゆーのじゃなくて!」
有「伊野ちゃん…?」
長い前髪からちらりと見えた、伊野ちゃんの涙目。
ついに顔を上げると、俺の目を見て言った。
伊「大ちゃんのことがっ…
恋愛感情として…好き、なのっ…」
有「……へ?」
俺の口からマヌケな声が出た。
それほど衝撃的な言葉を言われた気がした。
…だって、れ、恋愛感情…って…
有「…じょーだん?」
伊「もうっ…!ほんとだバカッ…!」
伊野ちゃんの目から、耐えきれなくなったように涙が一筋流れた。
……嘘だ。
だって俺ら、男同士だよ…?
信じられる理由がない。
…でも伊野ちゃんの目は真剣そのもので、何だかとても儚く見えて、思わずドキリとしてしまった。
伊「…お、男同士だって、そんなのわかってる…でもっ、それでも大ちゃんのこと…好きなのぉっ…」
有「…いの、ちゃ…」
伊「俺が、素っ気ない態度とっても…大ちゃんは俺に優しくしてくれて…守って、くれたとき、からっ…ずっと……っ…」
…伊野ちゃんは、それ以上は何も言わなかった。
ただただ泣き続けるだけで、何も言わない。
…俺には、唯という彼女がいる。
だから、今すぐ断らないといけないんだ。「彼女ができたから」とか、「好きな子ができたから」って、はっきり言えばいいんだ。
「伊野ちゃんのことそういう目で見られない」
「ごめん」
…そう、言えばいいのに…
有「…俺、伊野ちゃんのこと好きだよ。」
伊「…えっ…?」
有「でも、恋愛感情かは…正直わかんないよ…」
…本音だった。
確かに伊野ちゃんのことが好き。
笑顔が可愛いと何度も思った。
ドキドキしたことだって沢山ある。
伊野ちゃんが、ただの友達とは違う存在だということは、やんわりと自覚していた。
だけどこれが…この気持ちが、どんな感情からくるものかなんて、分からなかった。
しばらくの沈黙。
伊野ちゃんがどんな表情をしているか、俯いている俺には分からなかった。
伊「…大ちゃん。」
有「ん、?……え、」
名前を呼ばれて顔を上げると、伊野ちゃんは優しく微笑んでいた。
伊「時間かかったっていいよ。いつまで経ったっていい、から…俺のこと、ちゃんと見てね。
…それまで、ずっと友達でいよう?」
…この言葉が、伊野ちゃんの精一杯だったんだと思う。
俺が「うん」って頷くと、目の前の " 友達 " は、また嬉しそうに笑ってくれた。
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むにこめ(プロフ) - mapiiさん» コメントありがとうございます!面白いなんて、嬉しいです…!もっと楽しんで頂けるように頑張りますね^^* (2017年4月15日 0時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
mapii(プロフ) - すごく面白いです……!彼女さん……どんまいだ。有岡くんの嘘と、伊野尾くんの秘密がこれからどうなっていくのか、とても楽しみです。続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年4月13日 18時) (レス) id: b71e8cca2b (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - 明 日 音。さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(´;ω;`)頑張ります! (2017年4月6日 23時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
明 日 音。(プロフ) - むにこめさんのありいの大好きです!続き応援してます♪ (2017年4月6日 21時) (レス) id: 622c57b769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにこめ | 作成日時:2017年3月24日 23時