｢ 有 岡 ｣の名字を貰って下さい。( ar × in )

＊ ページ37

ar side .




今日は俺の仕事が長引いたから、そのついでにケーキを買って、急いで家へ帰る。

…愛しい彼が待つ家に。


有｢伊野ちゃん、俺〜｣


鍵は持っているが、チャイムを鳴らしてインターホン越しの彼の声を楽しみに待つ。


伊｢はぁーい、合言葉お願いしま〜す｣

有｢え〜…ふふっ、伊野ちゃん大好き！｣

伊｢ん〜、ブッブー！｣

有｢じゃあ……愛してる！｣

伊｢…誰よりも？｣

有｢うん！伊野ちゃんが一番だよ｣


そう言うとロックが解かれ、部屋のドアを開けると大好きな恋人が笑顔で俺を迎えてくれた。


伊｢おかえり〜大ちゃん！｣

有｢ただいま、伊野ちゃん！ケーキあるよ！｣

伊｢ほんと！？大ちゃん大好き！｣

有｢おわっ！？も〜お隣さんに見られちゃうから、早く入れて？｣

伊｢はぁーい♪｣



＿_伊野ちゃんと同棲し始めて、早くも一ヶ月。

いつもは二人一緒に帰るが、俺が遅くなる時は、伊野ちゃんが先に帰って、ご飯を作って待っていてくれる。

そして、毎回インターホン越しにこんなバカップルみたいな会話をする。それだけで疲れていた身体が一気に癒されるんだ。



有｢ん〜うまい！｣

伊｢ほんと？よかった〜｣

有｢うん！伊野ちゃんのご飯は金メダル級！｣

伊｢ふふ、褒めすぎっ｣


伊野ちゃんの作った味噌汁を飲んで、目の前で微笑んでくれて…一緒に住むって、こんなに幸せなんだな〜と実感する。


食事を済ますと伊野ちゃんが先にお風呂に入って、その後俺が入る。

お風呂から上がってリビングに戻ると、彼は冷えた水を渡してくれる。

ほんとにできた恋人だなあ…


伊｢大ちゃん髪、水滴落ちてるよ｣

有｢あ、ごめん、｣

伊｢拭いてあげよっか？｣


機嫌がいい時には髪まで乾かしてくれる。
ソファに座っている伊野ちゃんの前に素直に腰掛けた。


伊｢髪さらさら…｣


どうやら伊野ちゃんは俺の髪を触るのが好きなようで、細くて綺麗な指で俺の髪と地肌を刺激する。

…あ、ダメだ、興奮する。

それだけでムラムラしちゃう俺はもう重症だ。


ドライヤーが終わると、その体制のまま下からキスをした。


伊｢ん、ぁ…｣

有｢っ…伊野ちゃん、｣

伊｢ん…？｣

有｢…シない？｣


どんどん真っ赤に染まってゆく顔…そそるなぁ


伊｢しない！/｣

有｢ええーなんで！｣

伊｢疲れたの！おやすみ！/｣

有｢えええ！｣


そんなに簡単にはさせてくれない。
でも…


伊｢…大ちゃん…寝ないの？｣


寝る時は同じベッドでいつも一緒。

拒んだ癖に可愛い恋人を見て、そろそろ"大事な事"を言わなくちゃ、と決心した。




.

＊→←大事な言葉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す