揺らぐ想い ページ21
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今度は、大ちゃんだけじゃない。
俺も大ちゃんの事を避けているし、彼もまた、同じだった。
隣の部署だから顔を合わせる時はあっても、喧嘩中の時みたいに昼食は一緒に食べなくなったし、大ちゃんが朝俺に会いに来る事もなくなった。
こうして大ちゃんと一言も話さないまま一週間が過ぎようとしていた。
彼以外に特別仲の良い同僚がいない俺は、同じ部署でよく話す山田と行動する事が自然と増えた。
山「伊野尾さんもなかなかの鈍感ですよね〜」
伊「ほあ?」
デスクで仕事をしている俺の横に立ち、コーヒーを差し出してくれる山田は、呆れたようにそう呟いた。
山「ま、俺には都合がいいんですけど」
伊「?何がいいたいの?」
山「こっちの話です♪」
ニコッと微笑んだ山田を不思議に思いつつコーヒーを一口飲み、キーボードを打つのを再開すると、あ、と何か思い出したような声が聞こえた。
山「そういえば最近、大ちゃん先輩の周りに女性社員が増えましたよね〜」
伊「…へぇ」
知ってる。
俺と話さなくなってから、大ちゃんが前より女性といる姿をよく見るようになった。
…特に、鈴木さん。
山「あれ、気にならないんですか?理由」
伊「…別にぃ?モテるからじゃないの〜」
山「まあ普通にモテてはいるんですけど……伊野尾さんと別れた、って噂が広まったらしくて」
伊「はぁ!?」
何だそれ。そもそも付き合ってないし!
人の気も知らないで、と根も葉もない噂が広まっていたという事実に少しのイラつきを覚えた。
山「お二人の距離感が恋人同士のように見えていたんでしょうね。俺も最初は勘違いしてましたし」
…そういえばお前もそんな事言ってたなと、隣で笑う後輩に呆れて思わずため息をついてしまった。
山「だから、別れたんならチャンスだ〜ってことで、狙われてるんですよ。勿論、伊野尾さんも。
俺もその中の一人ですけど」
伊「…は?」
山「…言いましたよね?俺、本気だって」
山田が、微笑んだまま俺を見た。
…山田が本気なのは、ずっと分かってた。
だけど、信じたくなかった。
だって、仲の良い後輩としか見ていないから。
それに…こいつには、俺なんか勿体ない気がして。
山「大ちゃん先輩だけじゃなくて、そろそろ俺の事も見てくれませんか?」
伊「…仕事中にそんなこと、言うな、」
山「それとも、まだ大ちゃん先輩が好き?」
いつの間にかキーボードを打つ手は止まっていた。
伊「…諦めたよ、もう」
山「…本当に?」
そう。もう、終わったんだ。…何もかも。
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むにこめ(プロフ) - みー汰さん» コメントありがとうございます!!ええっ、本当ですか…!?そんな、本当に嬉し過ぎます…感情移入して読んで下さってありがとうございます( ; _ ; ) 自作でもよろしくお願いします! (2017年3月24日 0時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
kahoketo0401(プロフ) - むにこめさん» いやいや、最高じゃあらわしきれないくらいです!!はい!待ってます!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 0f2e983f87 (このIDを非表示/違反報告)
みー汰(プロフ) - むにこめさん» 初コメ失礼します!こんなにいい作品に出会ったのははじめてです!すごく感動しました!涙出てきました…!また、ありいの楽しみにしています!お疲れ様でした!ありがとうございました! (2017年3月22日 19時) (レス) id: 965becef9f (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - kahoketo0401さん» コメントありがとうございます!!最高だなんて、もったいないお言葉です…(;-;) 次作でもよろしくお願いします! (2017年3月22日 13時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - 苺猫カフェさん» コメントありがとうございます!!終わり方微妙かなと不安になっていたので、そう言ってもらえて嬉しいです^^* 次作でもよろしくお願いします! (2017年3月22日 13時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにこめ | 作成日時:2016年11月18日 22時