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in side .
はっきり言って、大ちゃんはモテる。
童顔だけど普通にイケメンだし、明るくて、誰にでも平等に接していて、親切な対応が出来る優しい人だから。
本人は知らないだろうけど、大ちゃんの事狙ってる女性社員なんてたくさんいるんだよ?
…だからほら、今だって
顔を赤くした鈴木さんに話し掛けられてる。
二人からは距離が遠いから、何を話しているのか聞こえないけど…心なしかいい雰囲気だなって、嫉妬してしまう。
…もしかして、鈴木さん、なのかな…
胸がズキズキと痛む。
こんなにも苦しいのなんて初めて。
俺が大ちゃんのことを好きでも、彼には好きな人がいるなんて、当然のことなのに…
カバンを持ったまま立ち尽くしていると、振り返った大ちゃんと目が合った。
有「伊野ちゃん…!俺、聞きたいことがあって…」
伊「っ…!」
嫌だ。
何も話したくなんかない。何も聞きたくない。
こちらに向かって来る大ちゃんに背を向け、走ってエレベーターの方へ向かった。
有「っ、伊野ちゃん!無視すんなこらっ!」
伊「やっ!…もうっ、離してっ!」
有「伊野ちゃ、」
伊「やだって!」
エレベーターに乗る前に大ちゃんに腕を掴まれた。
運が悪いことに、周りには俺達以外の社員はいない。
俺の腕に触れた大ちゃんの手が熱くて、咄嗟にその手を払った。辺りがしんと静まり、二人の息遣いだけが響く。
有「っ…俺が、何したって言うんだよ…!」
伊「…へ…」
後ろを振り向き見えた大ちゃんの顔は、今までに見た事ないほど怒りと悲しみに満ちていた。
有「もうわかんねぇよっ…伊野ちゃんの考えてることが…伊野ちゃんのことが、俺…」
伊「……大ちゃん…好きな子、いるんでしょ?」
有「えっ…?」
伊「…いる、よね?」
…いないって言って。
お願い大ちゃん。いないって、言ってよ…
有「…いるよ」
___胸の奥が、またズキン、と音を立てた。
伊「…キス、してきたの」
有「…え?」
伊「…大ちゃんが酔っ払って、好きな子と間違えて…俺に、キスしてきたのっ…!!」
目を大きく見開く大ちゃん。
…ああ、終わった。
知らなくてよかった、大ちゃんは知らなくてよかったのに…
「ごめん!!ノーカンにしよ!」って笑い飛ばしてくれれば、俺だって忘れようとしたはず。
だけど…大ちゃんがそんなに辛そうな顔をするから。
…もう、一緒にいちゃダメだよね…
唖然としている大ちゃんを置いて、俺は急いでエレベーターに乗った。
扉が閉まる際に見えた大ちゃんの顔は、俯いていたためよく見えなかった。
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むにこめ(プロフ) - みー汰さん» コメントありがとうございます!!ええっ、本当ですか…!?そんな、本当に嬉し過ぎます…感情移入して読んで下さってありがとうございます( ; _ ; ) 自作でもよろしくお願いします! (2017年3月24日 0時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
kahoketo0401(プロフ) - むにこめさん» いやいや、最高じゃあらわしきれないくらいです!!はい!待ってます!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 0f2e983f87 (このIDを非表示/違反報告)
みー汰(プロフ) - むにこめさん» 初コメ失礼します!こんなにいい作品に出会ったのははじめてです!すごく感動しました!涙出てきました…!また、ありいの楽しみにしています!お疲れ様でした!ありがとうございました! (2017年3月22日 19時) (レス) id: 965becef9f (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - kahoketo0401さん» コメントありがとうございます!!最高だなんて、もったいないお言葉です…(;-;) 次作でもよろしくお願いします! (2017年3月22日 13時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - 苺猫カフェさん» コメントありがとうございます!!終わり方微妙かなと不安になっていたので、そう言ってもらえて嬉しいです^^* 次作でもよろしくお願いします! (2017年3月22日 13時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにこめ | 作成日時:2016年11月18日 22時