* ページ12
in side .
出社してすぐ、目の前から、頭を片手で押さえながら歩いて来る大ちゃんの姿が見えた。
伊「大ちゃん、」
有「っ…」
……今日も、無視されちゃった。
俺が腹を括って、大ちゃんと仲直りしようと毎日会う度に声を掛けるが、その彼はいつも気まずそうな顔をして顔を背ける。
それが何日も続くとなると、さすがの俺でも精神的にきつかった。
…だって、
"好きな人から嫌われたかもしれない"
そう思うと怖くて。
だから、資料室で一人のところに偶然大ちゃんが来て目が会った時には、もう諦めかけていた。
…このまま話さない方が、大ちゃんがそれがいいなら…別に
俺が悲しむだけでいいんだ。
大ちゃんには、迷惑なんて掛けたくないの。
だって、俺、大ちゃんのこと大好きだから。
___狭い室内。好きな人と、無言で二人きり。
…こんな状況、耐えられない。
やっと見つけられた資料を取ろうとすると、意外と重くて視界が一気にぐらりと揺れ、体制を崩してしまった。
すぐ近くでファイルが落ちる音が聞こえて咄嗟に目を瞑った。
いつの間にか頭の後ろには腕を回されて、俺を覆うような体制の目の前の人から、久しぶりに香る甘い香水の匂い。
顔が見えなくても、誰だかすぐに分かった。
伊「……だい、ちゃん…?」
有「…ぃっ…て…」
頭上から苦しそうな声が聞こえてきて我に返る。
大ちゃんが俺を助けてくれたんだと直ぐに理解した。
伊「大ちゃ、!」
有「伊野ちゃん大丈夫っ…!?」
バッと体を離されたと思ったら、俺の両肩を掴み、心配そうな顔をして俺を見つめる大好きな人。
…あぁ、大ちゃんだ…
自分より他人を大事にする大ちゃんの優しさに胸がきゅっとなる。
それに、こんなにも真っ直ぐに見られたり、声を聞くのがすごく久々に感じて。
目頭が一気に熱くなるのが分かった。
伊「っ…だぃちゃっ…」
有「…伊野ちゃんっ…!?」
涙を流した俺に驚く大ちゃん。
…ごめんね、泣いたりなんかして…大ちゃん、困っちゃうよね
でもそれは止まることを知らない。
有「…な…どうした?痛かった?」
伊「…ごめん、なさ…」
有「え…?」
伊「ごめんっ…おれ、山田を放っておけなくて…でも、大ちゃんのことっ…」
…ああ、ダメだ、言ってしまう。
このままじゃ___
絶対に関係が壊れるようなことを言おうとしてしまった時、大ちゃんがいきなり俺の背中に腕を回した。
有「…俺もごめん、伊野ちゃん…」
耳元で囁かれた声に、また胸がぎゅっと締まった。
.
603人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むにこめ(プロフ) - みー汰さん» コメントありがとうございます!!ええっ、本当ですか…!?そんな、本当に嬉し過ぎます…感情移入して読んで下さってありがとうございます( ; _ ; ) 自作でもよろしくお願いします! (2017年3月24日 0時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
kahoketo0401(プロフ) - むにこめさん» いやいや、最高じゃあらわしきれないくらいです!!はい!待ってます!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 0f2e983f87 (このIDを非表示/違反報告)
みー汰(プロフ) - むにこめさん» 初コメ失礼します!こんなにいい作品に出会ったのははじめてです!すごく感動しました!涙出てきました…!また、ありいの楽しみにしています!お疲れ様でした!ありがとうございました! (2017年3月22日 19時) (レス) id: 965becef9f (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - kahoketo0401さん» コメントありがとうございます!!最高だなんて、もったいないお言葉です…(;-;) 次作でもよろしくお願いします! (2017年3月22日 13時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - 苺猫カフェさん» コメントありがとうございます!!終わり方微妙かなと不安になっていたので、そう言ってもらえて嬉しいです^^* 次作でもよろしくお願いします! (2017年3月22日 13時) (レス) id: f1d41cd502 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むにこめ | 作成日時:2016年11月18日 22時