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「…ばるくん。」
「ばるくん。ちゃうわ！あほ！
お前、あの時みたいに大怪我したいんか！」
わたしが6歳になった夏の日だった。
いつものように颯爽とわたしの前を走る
ばるくんを周りも見ずに必死で追いかけるわたし。
あまりに必死に追いかけていたから
側にある溝に気がつかずに落ちてしまい
足の骨を折ってしまった。
追いかけて来てるはずのわたしが
いない事に気がついたばるくんが
溝の中で痛いと泣きじゃくってる
わたしをおんぶして、家まで連れて帰ってくれた。
「A！聞いてんのか？」
突然のことでびっくりしてるわたしに
しっかりせぇ！とたたみかけるばるくん。
「え？うん。ごめんなさい。」
あれ？
「ねぇ、ばるくん何でこんなとこにいるの？」
今日はバンドのライブの日で
スタジオにいる時間のはず。
「あ？お前がピンチやから迎えに来いって
丸と大倉がLINEしてきよってん。」
「え？だって亮ちゃんに護衛しろ。とか言ったんでしょ？」
「亮？亮には何も言うてへんで？
それより！
お前なんでピンチやねん。」
「え。ピンチ…っていうか
なんか、今まで必死に培ってきたものが
崩れたというか…いつも通りの事っていうか…」
モゴモゴしてるわたしに
「またヤスか…」とばるくんは呟いた。
わたしが聞き返そうとした時
「あー！すばるくんやん！」
わたしを追ってきたであろう亮ちゃんが
校門から出てきた。
「じゃあ、A、亮も来たし俺行くわ」
そう言ってばるくんと亮ちゃんは
今日のライブの話をしながら帰って行った。
一体、何だったんだろう？
2人がわたしについて話してるなんて
知る由もなく…
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作者名：あいち | 作成日時：2016年4月17日 23時
