～君へ～[ARS]part4 (ページ10)

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85 折り返し side和ページ10

　
　
　
着信が鳴って、数秒ほど経っていたらしい。
　
　
気がついたときにはすぐ切れてしまった。
　
　
それは、知らない電話番号の着信で。
　
　
和「誰からだったんだ…？」
　
　
気になって、俺はすぐに折り返した。
　

ー？「…もし、もし…」
　
和「さっき、電話掛けられましたよね？どなたですか？」
　
ー？「…っ、ぁ……の」
　

途切れ途切れで、小さく聞こえる声。
　
その声には聞き覚えがあった。
　
　
和「もしかして、A…？」
　
A「っ……そぅ…です……夜遅くに…す、みませ…」
　
　
彼女がテレビに映ってるときに
　
君の声が聞きたい時に
　
　
電話が掛かってきたのは、嬉しくて。
　
　
和「それは別に大丈夫だから。気にしないで？」
　
　
A「ぁ…は、い」
　
　
でも、疑問がひとつ。
　
　
なんで掛けてきたのか。
　
　
　
時間も遅いし。
　
　
和「で、どうした？」
　
　
A「い、や……っ、…そのっ……
　
　
間違えて、かけちゃって……ごめんなさい、っもう切りますね…？」
　
　

喋りがたどたどしいし。
　
　
　
　
電話口から、彼女のすすり泣く声が聞こえるし。