91 聞かない side和 ページ16
A「なにか……夜食でも作りましょうか？」
気を利かせてくれた、彼女は言う。
和「いいの？」
A「簡単なものしか出来ないんですけど、それでも良いなら。」
そして、ありがたいことに彼女の手作り料理を食べられることになった。
彼女に、泣いていた理由は聞かないことにした。
和「へぇ。料理上手なんだ」
具材を切っている彼女の手元を見て、俺は言う。
だって包丁裁きが普通にうまいから。
A「そんなに上手じゃないですけど…子供の頃、祖母に少しだけ教わったんです」
和「で、なに作ってんの？」
A「チャーハン、ですけど……ぁの………」
和「ん？」
A「…見られながらするのはなんだか恥ずかしいし……
緊張するのでっ、テレビとか見ててください…//」
和「あー、りょーかい。」
俺はテレビをつけたら、あることを思い出した。
和「そうだ。A、今日のZEROに出てたでしょ？」
A「…そう、らしいですね。」
和「やっぱりね。翔さんとなんか話した？」
俺はそのときの状況を知るため、少し探りを入れてみる。
A「食事に行かないかって言われて……」
和「行ったの？」
A「はい。失礼だとは思ったんですけど…断れなくて」
和「へぇ、そう。」
ふーん、翔さんもなかなかやるな。
あの人も本気だね。
A「はい、どうぞ。」
和「いただきます。
うまっ…めっちゃ、うまいじゃん…！」
彼女の表情が明るくなった。
本当においしい。
過去に何かしら、料理に関する職についてたんじゃないかって疑うくらい。
和「これ、お店出せるんじゃない？」
A「そんなの無理ですよ！大袈裟です…」
和「いや、大袈裟じゃないよ。出来るって」
A「褒め過ぎですって…笑
それに私は、これからも保育士をやっていくつもりなので。」
そう言い、くるりと進行方向を変えた彼女はキッチンへと戻って行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神城りお | 作成日時：2015年8月27日 15時
