1 ページ3
「何か視線を感じる…」
任務帰りにAは、土産を手に蝶屋敷へと向かっていた。特に怪我は無く、ただ皆の顔を見たいだけだ。
その道すがら、自分に異様に視線が向けられていることに気がつく。どういった類のものかはよく分からなかったが、Aは体がむず痒くて仕方がなかった。
どこから向けられているのかは分かっていた。文字通りそこら中からだ。Aが歩く度に増えていくそれに、彼女は不思議がる他なかった。
最も、傍から見れば、彼女に送られている視線の種類は簡単に特定することが出来る。それだけ、熱が込められた視線なのだ。
だが、Aは気が付かない。産まれてこの方、赤の他人に容姿を褒められるような機会がなく、自分の容姿が一目惚れされるほど優れたものだと思っていないからだ。
「うう…本当に何?」
どういったものなのか知りたく、向けてくる人物を見れば、顔をそらされたり、逆に笑いかけられたりする。その反応の真意が読めず、Aはしきりに首を傾げる。
「やあ、お嬢さん。どう?お茶でも…」
これだけ周りから好意の目に晒されている少女を、自身のものにしようと動く勇者がいた。その勇気に似つかわしい整った容姿を存分に見せつけ、男性はAに手を差し出す。
断られるとは少しも思っていないその態度であるが、向かうAはその上を行く超鈍感だった。
(え?この人私に言ってる…?違うよね?)
そう結論づけ、Aは男を無視して立ち去るほかなかったが、男の方はもっとしつこかった。回り込み執拗にその気を引こうとする。その様子にようやくAは男が何をしたいのか気がつく。
(人さらいか!!)
そんなに自分は裕福に見えるだろうか、と体を見るが、そうではない。男の方は全く自分の言葉が伝わっていないことに気が付かず、Aが立ち止まったことでその気になったのだと思ったのだろう。
1743人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もみじ - めちゃめちゃ面白かったです!! (2022年8月1日 19時) (レス) @page30 id: 32f65dbc25 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - ななしさん» お読みいただきありがとうございます。今でも反応をいただいており、私としてもお気に入りの作品ですので、そう言っていただけて嬉しい限りです。もしまた機会があれば、読んでいただけましたら幸いです。 (2022年4月9日 0時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 面白くて一気読みしました!語彙力が凄くて羨ましいです...!シチュエーションも神でした!これからも応援しています!! (2022年4月2日 17時) (レス) id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - 水城舞梨亜さん» 喜んでいただけて良かったです!リクエスト本当にありがとうございました…! (2020年10月22日 11時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - いいいい伊黒さんかっこいい!!!です!\(^o^)/伊黒さんは、私の推しなんですが、こんなにかっこよく書いていただけて嬉しいです!!(*´ω`*)後、夢主ちゃんがかわそう…でもなんかすごいです!(語彙力)感情が無いようであって。凄く、本人にあってると思います! (2020年10月22日 8時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハッシュタグ | 作成日時:2019年11月30日 19時