検索窓
今日:26 hit、昨日:43 hit、合計:716,516 hit

17 ページ19

「や、止めてくれ、善逸!俺は今Aさんに結婚を申し込んでいるのだから!」

「何言っちゃってるの!?」


意地でも手を離さない炭治郎の態度とその言葉に、善逸は目を白黒させながら肩を揺らす速度を上げた。遂に炭治郎はその動きを止めるべく手を離したので、Aと甘露寺はそれを絶好の機会だと思い、反対側へ去ろうとすると、そちらは伊之助が塞いでいた。


「伊之助くん?そこ、いい?」

「駄目だ!」

「お願いよ、伊之助くん…!」


甘露寺のお願いも聞き入れず、伊之助はただ廊下に仁王立ちする。それを見て、Aは焦りを募らせる。彼女の見立てでは、炭治郎と伊之助に血鬼術が作用し、善逸のみが効いていない。

善逸の先程のキメ顔に近い笑顔は、側から見ると気がある人間に向けるもののように思えるが、それが善逸の女性に対する通常だ。何より彼の心はもう、一人の少女の手の内にあるのだから。


「お前を見ると胸がホワホワどころか、ドクドクすんだよ!何か俺に変な術をかけただろう!?」

「確かに事の原因は私だけど、私じゃ無いと言うか…」


今の状況の責任は自分にあるため、言葉の全てを否定することが出来ないのが辛かった。話し合いでは拉致が開かないと思ったのだろう、甘露寺は素早い動作で伊之助に向かって踏み込み、その体を拘束しようとする。


だが、伊之助は野生の勘を持ってしてその動作を阻み、甘露寺へと意識を移す。甘露寺はAに、先に進むよう促した。伊之助はまだまだピンピンしていたが、元々進みたい方向にいる炭治郎は、善逸によりフラフラしていたからだ。


「…ごめ、ううん、ありがとう!」


友人には感謝を、巻き込んでしまった後輩には謝罪を残して急いでその場を立ち去った。追おうとする伊之助を止めながら、甘露寺は善逸にお願いをした。


「善逸くん!」

「は、はい!」


状況が読み込めず、友人二人がいきなりおかしくなってしまい混乱の最中にいた善逸は、甘露寺の呼びかけで意識をしっかり現実に取り戻した。


「私と一緒に頑張りましょう!」

「はい!」


何を?だとか思ったわけだが、善逸ほど女性のお願いに弱い者はいない。彼は気前よくそう返事をしながらも、いつもと様子が異なる友人を前に、心の中で愛しい少女に癒しを求めた。

18→←16



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (856 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1743人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 逆ハー , 冨岡義勇
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もみじ - めちゃめちゃ面白かったです!! (2022年8月1日 19時) (レス) @page30 id: 32f65dbc25 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - ななしさん» お読みいただきありがとうございます。今でも反応をいただいており、私としてもお気に入りの作品ですので、そう言っていただけて嬉しい限りです。もしまた機会があれば、読んでいただけましたら幸いです。 (2022年4月9日 0時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 面白くて一気読みしました!語彙力が凄くて羨ましいです...!シチュエーションも神でした!これからも応援しています!! (2022年4月2日 17時) (レス) id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - 水城舞梨亜さん» 喜んでいただけて良かったです!リクエスト本当にありがとうございました…! (2020年10月22日 11時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - いいいい伊黒さんかっこいい!!!です!\(^o^)/伊黒さんは、私の推しなんですが、こんなにかっこよく書いていただけて嬉しいです!!(*´ω`*)後、夢主ちゃんがかわそう…でもなんかすごいです!(語彙力)感情が無いようであって。凄く、本人にあってると思います! (2020年10月22日 8時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハッシュタグ | 作成日時:2019年11月30日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。