12 ページ14
「宇髄さんには効かないのですか」
しのぶは、そう呟いてから鎹鴉を呼ぶ。
悲鳴嶼、不死川、煉獄がAの不在に気づき、且つ、自身がその三人を止められないことは簡単に予想出来た。だから、自分は別室にある対人間用の薬を持って来ようと部屋を出た時、聞こえたのは宇髄とAの会話だった。
地の声がどちらかと言うと大きな二人の会話で、尚且つ耳を澄ませていたから聞こえる程の大きさだった。最初こそ宇髄と鉢合わせしてしまっていることに焦ったが、どうやらあの血鬼術には、対抗手段があるらしい。それが知れただけでも大きな収穫だ。
「なら、あの人も効きにくいでしょうね」
鎹鴉に、自身の友人を呼んで欲しいと頼む。そして、こう付け加える。
「一緒にいる人も来ても大丈夫ですよ、と伝えてくださいね」
鎹鴉を空に放ち、しのぶは薬を取りに行こうと走り出した。
所変わって、蝶屋敷に程近い甘味処。
外に置かれた長椅子に、乙女と青年が座っていた。乙女は両手でも足りないほどの団子を食していたが、青年の方は食うのでもなくひたすらに彼女を見つめている。
そこに一羽の鴉が訪れる。乙女は鴉の伝言に、大変だわ、と声を漏らした。
「今すぐ行かなくちゃ！」
「待て、俺も行く。この後特に用事も無いからな」
「本当！？ありがとう！伊黒さん！」
そう呼ばれた青年は包帯の下で口を綻ばせ、そして二人の平穏な一時邪魔されたことに激しい怒りを燃やした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1743人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もみじ - めちゃめちゃ面白かったです！！ (2022年8月1日 19時) (
レス) @page30 id: 32f65dbc25 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - ななしさん» お読みいただきありがとうございます。今でも反応をいただいており、私としてもお気に入りの作品ですので、そう言っていただけて嬉しい限りです。もしまた機会があれば、読んでいただけましたら幸いです。 (2022年4月9日 0時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 面白くて一気読みしました！語彙力が凄くて羨ましいです...！シチュエーションも神でした！これからも応援しています！！ (2022年4月2日 17時) (レス) id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - 水城舞梨亜さん» 喜んでいただけて良かったです！リクエスト本当にありがとうございました…！ (2020年10月22日 11時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - いいいい伊黒さんかっこいい！！！です！＼(^o^)／伊黒さんは、私の推しなんですが、こんなにかっこよく書いていただけて嬉しいです！！(*´ω｀*)後、夢主ちゃんがかわそう…でもなんかすごいです！（語彙力）感情が無いようであって。凄く、本人にあってると思います！ (2020年10月22日 8時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハッシュタグ | 作成日時：2019年11月30日 19時
