男性を魅了してしまう血鬼術にかかってしまったわけですが

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「そうか、皆大変だったんだね。A、鬼については解明されていないことが多いのだから、余り油断してはいけないよ」


騒動の顛末を聞いたお館様と剣士から敬愛される青年、産屋敷耀哉はそう皆を労いつつ、Aに注意を呼びかける。雲柱は面目の無い、と自身を恥じつつ、赤い顔で了承の意を唱えた。


「はい、これからはそう念頭に置いて任務にあたります」


そして話題は鬼の目撃情報に移り、三十分後には解散が言い渡された。産屋敷が姿を消すと、柱達は正していた居住まいを崩し、各々別れを言い合いながら、帰ろうとした。


それをAが呼び止める。そして、そのまま皆に頭を下げた。最早土下座する勢いな上に柔軟性も相まって、頭が石が敷き詰められた地についてしまいそうだった。


「本当にご迷惑おかけして申し訳ございませんでした！」


いつもは滅多に使わない敬語で、心の底からの謝罪が辺りに響く。


Aは睡眠薬で眠っていたり、普通に起きているうちに正気を取り戻した皆に会って、開口一番に謝罪をした。自身の不出来が招いてしまった事態だと、詳らかに説明しながら。


皆記憶が残っていたため、情けの無い姿を晒したことや、柱でありながら血鬼術の被害を拡大させることで、Aに言いたいことがあった。が、罪悪感で押し潰されそうな表情をした彼女に、二の句を告げられなかった。


反省しているのは知っている。Aは抜けているところはあるが、曲がりなりにも柱である。学習能力は高い。


ならば、余計な叱責は要らないだろうと、口を閉じたのだ。だから、再び謝る彼女に気負わなくて済むような言葉をかけた。


「謝ることはない！今後気をつければ良いだけだ！」

「そうだ。私も嫁入り前の女性に断りもなくあの様に触れてしまってすまなかった」


煉獄はいつもの笑顔でそう言って、Aの肩を慰めるように叩いた。悲鳴嶼に至っては、残った記憶の中で彼女を片手で抱きしめたことを謝罪する。

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