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29 不死川玄弥 ページ30

ある騒動が原因で、不死川様による柱稽古は中止となった。結局一発も入れることは出来ず、気持ちを入れ替えて挑んだ悲鳴嶼様の柱稽古は過酷を極めていた。

まず一刻滝に打たれ後に、丸太を三本担ぐ。それが出来たら最後に岩を一町運ぶ。どうにかこうにか、二十日以上かかってようやく岩まで来たのだが、動かす手立てがとんと思いつかない。

「さてどうしようかな…」

悩んでいたって仕方がないのだが、ここ三日必死に押してもどうにもならないのだ。ということは、がむしゃらに押しても駄目だ。

「あの」
「はい!?」

岩の前で首を捻っていたら、いきなり声をかけられた。驚きそちらを見ると、少年が立っていた。熱があるのか顔が赤い。

「不死川玄弥様!」
「え!?何で俺の名前を…」
「炭治郎くんから聞いたのですが…、勝手にすみません」
「い、いえ!」

首がちぎれるんじゃないかってくらいの速度で、玄弥様は首を振り、そのまま下を向く。

「それなら良かったです。どうされましたか?」
「あの、えっと」

口ごもって、目線も合わせてもらえない。もしかして嫌われていたりするんだろうか?赤いのも怒っているから…?いやいや、そんな訳ないと後ろ向きな考えを吹き飛ばすが、玄弥様は何も言わない。

「前に会った時は本当にすみませんでした!」

意を決したように顔を上げたと思ったら、綺麗なお辞儀を向けてきた。既視感が否めなくて、私は居心地が悪くなる。

私だ。風柱、目の前の子の兄である不死川実弥様に、非礼を詫びた私だ。

「お、お気になさらないでください…」
「で、でも俺…」
「それより、顔が赤いですが熱でもあるのですか?」

玄弥くんは、はっとしたように顔を手で覆った。何でもない、と否定するが、指の間から見える顔は真っ赤だ。

「…悲鳴嶼様を呼んできましょうか?」

強がるほど辛いのかもしれない。それならば、悲鳴嶼様に運んでもらった方が楽だろう。そう提案すると、玄弥くんは一番強く首を振った。

「いいです!大丈夫ですから…!」
「そうですか?」
「あの!岩、動かすなら反復動作した方がいいです!」
「反復動作?」
「集中を高めるために、決めておいた動作を行うんです」
「それは何でもいいんですか?」
「はい」
「そうなんですね!教えてくださりありがとうございます!」

わざわざ教えてくれるなんて、何て親切な人なんだろう、と感激して手を取ると玄弥様は凍ったように固まってしまった。



(思春期中の少年との再会)

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ハッシュタグ(プロフ) - ロトさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけ本当に嬉しいです。そして、応援いただきありがとうございます。次回作も、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2019年11月14日 6時) (レス) id: 9cd03d1863 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 続きです。次回作も勝手ながら毎日読ませていただきます!どちらも今からすごく楽しみです!!無理をしないよう頑張ってください!長々と失礼しました! (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - コメント失礼します。完結おめでとうございます!この小説を一日の終わりに読むと何だか心が暖かくなってホワホワして大好きでした!!実は完結の文字を見た時、少し寂しかったので次回作の予告を見て安心しちゃいました!長くなったので続きます。 (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハッシュタグ | 作成日時:2019年10月18日 18時

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