22 宇髄天元 ページ23
今日から始まった柱稽古。一番最初は宇髄天元様のもので、目的は基礎体力向上。ひたすら走り込みを行ったので体はクタクタだ。
「ご、ご飯…」
目の前に並べられた夕食は全て美味しそうで、さっきから唾液の分泌が止まらない。他の隊士も食べ始めの合図を今か今かと待っている。そして出された合図を皮切りに、おかず争奪戦が始まった。
「うっまい!」
どうにか得た豚の角煮を、白米と共に頬張る。そこで、やらなければならないことを思い出す。食事中に話しかけるのは少し行儀悪い気がするが、多分夕食が終わったらゆっくり話をすることは難しいだろう。そう結論づけ、席を離れて宇髄様とそのお嫁さんが座る机へと移動する。
「宇髄様、お食事中に申し訳ありません」
「おお、何かあったか?」
「私事なのですが…、先日は簪をいただきありがとうございました」
そう頭を下げれば、軽く気にするなという意の言葉が返ってくる。
「付けてみたか?」
「はい!私にはもったいないくらい綺麗でしたが」
「て、天元様!浮気ですか!?」
宇髄様の右隣に座っている、ゆるく巻いた黒髪の可愛らしい女性が声を上げる。私は途中で言葉を止めて、思わず見てしまう。すると、凛とした雰囲気のこれまた美人が先ほどの女性に喝を入れる。
「こら!須磨!なんてこと言うんだ!」
「まきをさんっ!だっ、だって〜」
ついには泣き出してしまうが、皆慣れたように慰めているのでよくあることなのかもしれない。
「何かすみません…タイミングが良くなかったですね…」
「気にしなくていいのよ」
泣きぼくろが印象的な黒髪美人が慰めてくれる。それに続くように、宇髄様が話し出す。
「簪のことも気負わなくていい」
「は、はい!ですが、どうして宇髄様は私などに簪を…?」
ずっと気になっていたことだ。あの時初めて会ったのに、奢ってもらえた意味がわからない。
「…簪なんて洒落たものしたことないって言うお前に、姉が重なってな」
少し声の調子を落とし、罰が悪そうにそう言う。宇髄様のお姉様ならきっと相当な美人だろう。
「そうなのですか!なんというかとても恐れ多いですが…」
「ま、神の俺が気まぐれにやった施しだとでも思っとけ」
「はい!」
素直にそう返せば、宇髄様は一瞬目を見開いた。そしてにんまりと笑顔を浮かべる。
「そうだ、そうだ。ド派手に俺を崇めろよォ」
「もちろんです!」
私はもう一度大きく返事をした。
(ド派手で愛妻家な元忍との再会)
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ハッシュタグ(プロフ) - ロトさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけ本当に嬉しいです。そして、応援いただきありがとうございます。次回作も、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2019年11月14日 6時) (レス) id: 9cd03d1863 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 続きです。次回作も勝手ながら毎日読ませていただきます!どちらも今からすごく楽しみです!!無理をしないよう頑張ってください!長々と失礼しました! (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - コメント失礼します。完結おめでとうございます!この小説を一日の終わりに読むと何だか心が暖かくなってホワホワして大好きでした!!実は完結の文字を見た時、少し寂しかったので次回作の予告を見て安心しちゃいました!長くなったので続きます。 (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハッシュタグ | 作成日時:2019年10月18日 18時