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19 煉獄杏寿郎 ページ20

私は駅員を振り切るために、列車の乗降場を人をかき分け走っていた。追いかけられている理由である刀の存在を確かめるように、左手で抑える。

「隠しとくの忘れてた…!」

如何せん鬼殺隊に入ってから初めて列車に乗ろうというのだ。駅員さんの手を煩わせてしまい申し訳ないが、私は捕まるわけにもこの刀を取られるわけにもいかない。

振り返りもう追いかけてきていないことを確認して、速度を落とした時、何か柔らかいものにぶつかる。それが人の体だと気づき急いで頭を下げる。

「すみません!」

武術か何かを体得している方のようで、早歩きほどになっていたとはいえ、私がぶつかってしまっても少しもよろめくことは無かった。怒号は飛んでこず、大丈夫だ、という優しい言葉が返ってくる。

「ありがとうございま…煉獄様!」
「む?ああ、君は」

顔を上げるとそこにいたのは煉獄杏寿郎様だった。快活な笑顔を浮かべている。

「先日は助言いただきありがとうございました」
「気にすることは無い!それにしてもそんなに急いでどうしたんだ?」

私は先程の件を包み隠さず話せば煉獄様は、自分もそのような経験があると言ってくれる。この人のような立派な方でもそういうことがあるのか、と少し胸を撫で下ろしてしまったのは秘密だ。

「今度から気をつけてるといい」
「はい!」
「君はこの列車に乗るのか?」

話題を変えて、煉獄様は線路に停車し、今か今かと出発を待つ列車を指さした。

「いえ。私は反対側の線路に来る列車に乗るつもりです」
「そうか!任務か?」
「はい。近隣ですが、この方が早いので」

折角線路が開通している地ならば、足で行くより数万倍早い。私がそう伝えると、煉獄様は大きく頷く。

「そうか!お互い任務遂行に全力を尽くそう!」
「煉獄様もなのですね!どの地に向かわれるのですか?」
「ああ、いや。俺が滅するべき鬼がいるのはこの列車内だ」

何の気なしに言われたが、呆気に取られる。

「え、列車内ですか…?」

乗客の安否が心配になるが、多分客が乗らなければその鬼は出てこず、首を狩ることも叶わないのだろう。それになりより任務遂行を任されたのが、炎柱の煉獄様なのだ。私は私が遂行すべき任務のことを考えよう。

「引き止めてしまいすみません」
「大丈夫だ!それでは」

そう言ってくるりと背を向け煉獄様は行ってしまう。私は唐突に呼び止めてしまいたい衝動に駆られた。





(使命に燃える青年との再会)

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ハッシュタグ(プロフ) - ロトさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけ本当に嬉しいです。そして、応援いただきありがとうございます。次回作も、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2019年11月14日 6時) (レス) id: 9cd03d1863 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 続きです。次回作も勝手ながら毎日読ませていただきます!どちらも今からすごく楽しみです!!無理をしないよう頑張ってください!長々と失礼しました! (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - コメント失礼します。完結おめでとうございます!この小説を一日の終わりに読むと何だか心が暖かくなってホワホワして大好きでした!!実は完結の文字を見た時、少し寂しかったので次回作の予告を見て安心しちゃいました!長くなったので続きます。 (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハッシュタグ | 作成日時:2019年10月18日 18時

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