17 我妻善逸 ページ18
雷鳴が轟く。
空は綺麗な晴れの夜空で。あちらこちらに星が見える。だから、これは雷じゃない。目の前で眠りながら立つ少年が起こした音だ。
「……っ！うわああああ！？」
突然少年が口から悲鳴を漏らす。私は慌てて駆け寄った。その場にしゃがみこんだ我妻善逸くんの前に回り込み声をかけるといきなり両手を掴まれた。
「ありがとうございます！とっても強いんですね！」
「え、いや、あの、」
「この鬼！倒してくれたんですよね！？」
涙目で感謝されて思わず後ずさる。私は今来たところだし、物凄い速さで首を落としたのは他でもない彼だ。
「違うよ！私は今来たところだし、あの鬼は善逸くんが倒したんだよ？」
塵になりつつある鬼をそう言って指差せばぶんぶんと首を振って否定される。ひたすら続く感謝と賛美にどうすれば良いのか唖然としてしまう。
「本当にどうなることかと！いきなり出てきて、俺それで」
「う、うん。…善逸くんはすごい強いんだからもっと自信を持って」
「俺が！？」
世辞なんていいですよ、と笑い出す。お世辞じゃないのに…。
「と、兎に角怪我はない？」
目立った傷はないが、ここまで怯えているのだから万が一があるかもしれない。そう問えば、無いです、と首を振られた。
やっぱり秒殺したんじゃないか。すごいなこの人。
口に出しても否定されるだけなので言わないが、心の中で賞賛を送る。
任務からの帰り道に、たまたま悲鳴を聞いたから急いで向かったら、善逸くんが居合の姿勢を取り鬼と対面しているところだった。目をつぶっており、眠っているということに気づき驚愕した数秒後、雷鳴が辺りを包んだのだ。
いつも俺は弱いだの、誰か守ってくれだとか言っていたが、どうやら初めて会った時の私の評価は間違っていなかったらしい。
「はい！無いです！心配までしてくれるなんて、優しいなあ〜」
にこにこ嬉しそうに笑うものだから、私もつられて笑顔になってしまう。聞くところによると、彼は大の女性好きらしい。だが案外一途で、少なくとも私は禰豆子ちゃん以外に好きだとか、結婚してくれだとか言っているのは聞いたことがない。私に言ってこないのは、単純に私が対象外であるのもしれないが。
「それなら良かった。もし良かったら、蝶屋敷に一緒に戻らない？」
「ぜひ！」
帰路では彼の恋の話を聞かせてもらおう。まるで砂糖みたいに甘くて、レモンみたいに甘酸っぱいそんな話を。
(恋する居合の達人である少年との再会)
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ハッシュタグ(プロフ) - ロトさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけ本当に嬉しいです。そして、応援いただきありがとうございます。次回作も、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2019年11月14日 6時) (
レス) id: 9cd03d1863 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 続きです。次回作も勝手ながら毎日読ませていただきます！どちらも今からすごく楽しみです！！無理をしないよう頑張ってください！長々と失礼しました！ (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - コメント失礼します。完結おめでとうございます！この小説を一日の終わりに読むと何だか心が暖かくなってホワホワして大好きでした！！実は完結の文字を見た時、少し寂しかったので次回作の予告を見て安心しちゃいました！長くなったので続きます。 (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハッシュタグ | 作成日時：2019年10月18日 18時
