16 竈門炭治郎 ページ17
治療も完了したため、蝶屋敷を出ようとした時外から帰ってきた竈門炭治郎くんと廊下で遭遇した。
「こんにちは！」
「こんにちは、お疲れ様です」
会釈をして通り過ぎようとした時、進行方向へ回り込まれた。驚いたが、その顔には笑顔が浮かんでいたため、特に警戒はしない。
「善逸に聞きました！この間禰豆子がお世話になったようで…」
この間とは満月の夜の話だろうか。
「いいえ。むしろ、私の方こそ話し相手になってもらえて嬉しかったから」
そう言えば、炭治郎くんは笑顔を深める。息を飲むほど優しい瞳には、愛しい妹さんが浮かんでいるんだろうか。
「…禰豆子をそのままに受け入れてくれる人がいるのが嬉しいんです」
いいお兄さんだ。まだ自分も庇護下にいていい年齢なのに、それでも前を向いて歩いている。思い返せば記憶の中の炭治郎くんはいつも笑っている。ここで初めて会った時、たまたま任務へ行く途中であった時、そして。
「…つかぬ事を聞くのだけど、私たちここで会うまでに一回遭遇したこと無かったっけ？」
「ありますよ。ここから一番近い茶屋の軒先でばったり」
｢…私何か失礼なことしなかった？」
「いえ、特には」
「無視したりとか…」
「いえ。急いでいたのに俺がいきなり話しかけはしましたが」
それ完全に私無視してるじゃないですか！そもそも今の今まで会ったことを忘れてたくらいだもんね！
「ごめんなさい！！！」
土下座する勢いで頭を下げる。困惑した声で炭治郎くんが話しかけてくる。
「お、落ち着いてください！」
「落ち着けないよ！」
無惨しか見えてなかった。鬼を狩ることしか頭になかった。順当に進んでいれば手に入った全ての幸せを捨ててでも刀を手に取り、復讐を誓った。でもそんなの、何の言い訳にもならない。
苛立っていたからとか、相手が嫌いだからとか、そんな理由じゃなくて、私は認識さえしてなかったのだと思う。そんなの最低で最悪じゃないか。
「大丈夫です。気にしていませんし、何より今こうして俺と話してくれているじゃないですか」
下を向く私の肩に両手を添え励ましてくれる。これが噂に聞く長男力…。
「…ありがとう、炭治郎くん」
零れそうになった涙を拭い顔を上げる。そこには変わらず優しい笑みがあった。
「いえ！すみません、引き止めてしまって。お気をつけて」
そう言って炭治郎くんは廊下を歩いていく。私は温かい笑顔を胸に、外へと続く道へ歩を進めた。
(太陽みたいな少年との遭遇)
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ハッシュタグ(プロフ) - ロトさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけ本当に嬉しいです。そして、応援いただきありがとうございます。次回作も、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2019年11月14日 6時) (
レス) id: 9cd03d1863 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 続きです。次回作も勝手ながら毎日読ませていただきます！どちらも今からすごく楽しみです！！無理をしないよう頑張ってください！長々と失礼しました！ (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - コメント失礼します。完結おめでとうございます！この小説を一日の終わりに読むと何だか心が暖かくなってホワホワして大好きでした！！実は完結の文字を見た時、少し寂しかったので次回作の予告を見て安心しちゃいました！長くなったので続きます。 (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハッシュタグ | 作成日時：2019年10月18日 18時
