10 不死川玄弥 ページ11
｢いないなあ…｣
私は山の中で鬼を探していた。今日は数人での合同任務である。目的の鬼は分離の血鬼術を使うため、手分けして捜索及び掃討に当たっているが、これが中々見つからない。
そう思っていたら土を荒く踏む音が聞こえた。もしかしたら誰かが交戦中なのかもしれないと向かうと、そこには黒髪をでこの縁から襟足まで髪を生やし、左右は坊主にしている少年が鬼と闘っていた。
もう決着はつきそうなので、他の分離体を探しに行こうかと思った時、彼の後ろから他の鬼が近づいた。私は声をかけると共に走り出す。
「危ないっ！」
後ろから飛びかかろうとした鬼の首を断つ。呼吸を使っていないため少々不安があったが、どうやら分離体のようで、本体よりも体が脆いため倒すことが出来た。彼の方も既に倒したあとで、塵の残骸が残っている。不思議な金属製の何かと、刀を両手にそれぞれ持ち、立ち尽くしている。顔は伏せられていて表情は読めない。
「大丈夫ですか？」
怪我はなさそうだが、一応確認のつもりでそう聞くと、返ってきた言葉は予期せぬものだった。
「…何すんだ」
「え？」
「何すんだよ！そんなの俺が一人で倒せたんだ！それなのに横槍入れやがって！」
突然少年は怒り出す。私は状況が掴めず、頭を疑問符が覆い尽くしていく。しかしその言葉を理解出来た時、彼に重なる影がはっきりと見えた。
彼は少し前の私だ。
目の前のことしか見えてなくて、狩った鬼の数にばかり気が取られてしまっている。でも、相手に斬りかかったりしない辺り、私より数倍聡明で、数十倍心優しい。
「横取りしたのはすみません。…私が言っていいことではないんですが、あまり肩に力を入れすぎると大切なことを忘れてしまいますよ」
そう言うと、彼は呆然と目を見開く。何も事情の知らない私が口出しすべきでなかったと後悔しつつ、新たな分離体を探すべく私はその場を離れた。
後ろから
「…でもそれじゃあ、届かない」
そう小さな声が聞こえた。それがまるで泣きそうなほど悲しげで、思わず振り返るとそこには既に彼の姿はなかった。
(切なる願いを胸に秘める不器用な少年との遭遇)
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ハッシュタグ(プロフ) - ロトさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけ本当に嬉しいです。そして、応援いただきありがとうございます。次回作も、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2019年11月14日 6時) (
レス) id: 9cd03d1863 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 続きです。次回作も勝手ながら毎日読ませていただきます！どちらも今からすごく楽しみです！！無理をしないよう頑張ってください！長々と失礼しました！ (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - コメント失礼します。完結おめでとうございます！この小説を一日の終わりに読むと何だか心が暖かくなってホワホワして大好きでした！！実は完結の文字を見た時、少し寂しかったので次回作の予告を見て安心しちゃいました！長くなったので続きます。 (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハッシュタグ | 作成日時：2019年10月18日 18時
