1 我妻善逸 ページ2
「綺麗だなあ」
任務帰りの朝。山に巣食う鬼を倒した後、私は麓の花畑で花を摘んでいた。無惨を倒すことばかりが頭を占めていた数日前まででは考えられなかった行動だ。
蝶屋敷に手土産として持って行こうかな。
止血はしたものの、未だ痛みを訴える右足をさすりながらそう考える。そうと決まったらもう少し数が欲しい。
「ふふ〜ん」
鼻歌まじりに、色とりどりの花を手に取っていく。このぐらいでいいかな、と思い立ち上がった時、後ろで小さな声がした。
「あっ」
あっ？
振り向くと、髪が黄金色で似た色の羽織を身につけた少年が立っていた。何故こんな時間にこんな場所に？と思ったが、同年代ほどの彼はよく見慣れた洋服を着ていた。
「鬼殺隊の方ですね？お疲れ様です」
他人には取り敢えず敬語で対応しておく。面倒なことになったら嫌だし、もしも若く見えるだけで目上の方だったら大変だ。
「お疲れ様です！」
なんかすごい元気な人だ。
任務帰りであろう彼は、所々土汚れがついていたが、怪我はなさそうに見えた。腕の立つ剣士のようだ、タメで話しかけなくて良かった…。
そんなことを考えていると、たんぽぽのような彼は私のほぼ直ぐ隣にしゃがみ込み花を摘み始めた。
「誰かへの贈り物ですか？」
「はい！好きな子に渡そうと思って」
恋をしている相手に花束をプレゼント、なんて素敵なんだろう。心がほくほくしてきて、思わず問いを重ねてしまう。
「どんな方なんですか？」
「すごく、すっごく可愛くて、とても優しい音のする子です。あ、お姉さんもすごい綺麗な方ですよね！本当に、この花が掠れてしまうぐらいに！」
好きな人に想いを馳せていたと思ったら、急に褒められてしまった。世辞だと分かっていても割と嬉しい。
｢ありがとうございます」
「い、いえ！じゃ、じゃあ俺はこれで失礼します！」
ほんのり顔が赤い気がするが大丈夫だろうか。
「はい。ご武運を」
いつもは言われる側の言葉を、恋の戦に向かう彼に投げかける。少年は一瞬呆気に取られたように口を開けたが、直ぐに太陽のような温かな笑みを浮かべた。
「ありがとうございます！」
それは驚くほど凄い無垢で明るい笑顔だった。
呆気に取られているうちに、金髪の彼は楽しそうに行ってしまう。
「……まあいっか」
笑顔の衝撃で足元に落としてしまった花を拾い集め、一つにまとめて、蝶屋敷への道を急いだ。
(やる時はやる金髪の少年との遭遇)
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ハッシュタグ(プロフ) - ロトさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけ本当に嬉しいです。そして、応援いただきありがとうございます。次回作も、ご期待に添えるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2019年11月14日 6時) (
レス) id: 9cd03d1863 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 続きです。次回作も勝手ながら毎日読ませていただきます！どちらも今からすごく楽しみです！！無理をしないよう頑張ってください！長々と失礼しました！ (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - コメント失礼します。完結おめでとうございます！この小説を一日の終わりに読むと何だか心が暖かくなってホワホワして大好きでした！！実は完結の文字を見た時、少し寂しかったので次回作の予告を見て安心しちゃいました！長くなったので続きます。 (2019年11月14日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハッシュタグ | 作成日時：2019年10月18日 18時
