28歳 sideバーボン ページ28
ベルモットからの連絡を受けて、ある路地裏に向かった。
そこで僕が見た光景は奇怪なものだった。
ジンが坂本を姫抱きにしている...
「坂本...」
坂本はなぜここにいるのだ。
あいつは女の姿に戻って病院の個室で療養中のはずだ。
「よぉ、バーボン。俺のイヌがお世話になったようだな」
ジンは鋭い目付きで僕を睨み、口角をあげる。
まるで浮気現場を見られたかのように焦る坂本、否、毛利。
なぜ男に戻っているのか分からないが裏切りだとは考えたくない。
組織を敵に回すか、国を敵に回すか、どちらが適切な選択かと聞かれれば元国家公務員であった毛利にも分かることだろう。
僕は毛利を信じることにした。
「ジン!坂本をどーするつもりなんです!?」
「こいつは俺のイヌだ。どうこうしようがお前には関係ねぇ」
坂本を抱えたまま黒いポルシェに乗るジン。
毛利...ご主人様を見誤ってくれるなよ...
「彼はジンのペットなのよバーボン。これ以上手を出すのはオススメしないわ。」
僕は黙り混んでしまう。どうすれば毛利を安全な所へ匿うことができるだろうか。
ジンのお気に入りになった以上、命の保証はある程度されるが...
毛利が人間としての扱いを受けることができるかどうかは...
「あなたも坂本が好きなの?」
ベルモットの以外な発言に目を丸くさせる。
この感情は好きなんてものじゃない。でも、毛利との接触を図るにはベルモットにはそういうべきなのか?
「好きと言われれば好きに近いですが...別にそういう意味ではありません」
僕が坂本を好きと言えば、恐らくジンは僕と坂本を会わせようとしないだろう。
僕は目の前で去っていくジンの車を見ていることしかできなかった。
59人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:純情調教師 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nomuharu262/
作成日時:2020年6月16日 0時