28歳 ページ27
「うぉっ!!お、おれ、重たいですよ!?」
気づいた頃にはジンさんに姫抱きにされていた。まさかそんなことをするだなんて思わなかった。ベルモットさんですら驚いている。
「うるせー。黙れ」
私を殺そうとしたくせになぜこんなことをするのだろう。それとも元々殺すつもりはなかった?
確かにあのときのジンさんの発砲は甘かった。
即死する部位を避けていた。
「重い」
「すみません...」
ジンさんは眉間にシワを寄せる。
「ジン、あなたどうしちゃったの??」
それは私も思う。
ベルモットさんはジンさんの後を追ってくる。
「お前には関係ねぇ」
「ふふ、イヌの大切さに気づいたのね」
「フン」
図星か...用はジンさんのイヌである私に愛着が湧いてしまったと...
私はよく分からない焦りを感じる。
「お前は殺さねぇ。そして、組織から逃がさねぇ」
なんて束縛の強い飼い主だ。お散歩くらいいいじゃないの??
「ジン、お散歩は?」
「飼い主と一緒ならな」
わ、私は犬ですか...
まぁ、私が一番、見誤ってはいけないのはご主人様が誰かということ。
「坂本...」
路地から抜け出した明かりの先にいたのはバーボンさん。私を見て、とても驚いている。
「よぉ、バーボン。俺のイヌがお世話になったようだな」
ジンさんはなにも言わないバーボンさんの横をすり抜ける。
何か胸がザワザワする。
ここでバーボンさんに出会うのはいけなかったのでは??
「ジン!坂本をどーするつもりなんです!?」
ジンさんの背中に向かって叫ぶバーボンさん。
ジンさんは足を止めて顔だけ振りかえる。
「こいつは俺のイヌだ。どうこうしようがお前には関係ねぇ」
そのままジンさんは私を姫抱きにしたまま、黒い車に向かった。
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作者名:純情調教師 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nomuharu262/
作成日時:2020年6月16日 0時