【刀剣乱舞】愛され少女は自覚なし。 (ページ14)

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一期side ページ14

「あつし...誰かの足音がするよ...」

「乱に何かあったら俺にまかせろ！」

私の膝の上でふるふると震えるのは乱藤四郎。

私も以前の審神者にはよく夜伽を強いられたが、

乱も同じくらい審神者に強いられた。

乱には刺激が強すぎたのだろう。

弟一人守れないとは兄失格ですね。

「大丈夫ですよ、私がついてます。」

小さな乱の背中を擦る。

障子の向こうから足音が聞こえる。

そろそろ新しい審神者が来るのだろう。

「いち兄、新しい審神者が来たようですよ！」

鯰尾がわくわくしている。

「鯰尾、落ち着け」

骨喰が鯰尾を捕まえて、押さえ付けている。

このような平和はこれで終わるのだろうか。

新しい人間がここに来るせいでｯ！！

障子の向こうには確かにいる人間。

だがなかなか入ってこない。

ただ、こんのすけの声だけが聞こえる。

「審神者様、此方は粟田口のお部屋になります。」

さあ、入ってくるか。と思ったとき、

ﾄﾞﾃﾝ！

「さ、審神者様！す、すみません。
こんのすけが審神者様の脱走を阻止したがために！！」

脱走？？

『やだよ！なんかいっぱいいる気配する！
５人以上いるでしょ！』

私は粟田口の兄として先立って障子の方へ歩みを寄せる。

ｽｰ

障子を開けると顔を真っ赤にして目に涙を溜めている女子が。

こんのすけは彼女の衣服の裾を引っ張っている。

『ぁ...』

「こ、こんのすけ？」

彼女が新しい審神者なのだろうか。

以前は男だったが今度は女子か。

『は、初めまして！新しく審神者に就任しました、
Aです。よろしくお願いします！』

新しい人間は正座をし、頭を少し下げ、挨拶した。

目線が合わない。

「審神者様、挨拶をする者は相手の目を見るものですよ」

私がそう言えば審神者は顔を上げ、

ゆでダコのように更に顔を真っ赤にした。

「さあ、審神者様、立って中にお入りください。弟たちが待ってます。」

そう言うと審神者は慌てて立った。

その拍子に後ろに手をついて立ち上がろうと思ったのだろう。

「あ、主さま！！！」

「審神者様！」

彼女は障子から少し距離をおいた縁側近くで

正座していたため、縁側から手を踏み外した。

その後、彼女は縁側から落ちた。

ごつんと痛々しい音が響いた。

「だ、大丈夫ですか？」

我々の慌てる声に弟たちが部屋から出てきた。

近くの部屋の和泉守兼定と堀川国広が廊下を覗いている。

『いたい...』

「今度の主はしょうがねぇ主様だな。」

部屋から薬研が出てきた。