絶対零度～未然犯罪潜入捜査～③ (ページ33)

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小田切「谷口正博の事件、一課に聞いてみたところ事件を詳しくは把握していませんでした。」

井沢「え？」

南「上から被疑者死亡で処理しろって言われたそうです。捜査資料にも、射殺した捜査員の名前は記されていません。」

山内「はぁ...これでハッキリとした。表沙汰にはできない事件。何か裏がある。」

『朝日証券のベトナム支社長として赴任したのが、相馬和久55歳。谷口はその相馬さんの娘さんと結婚を前提とした交際関係にあったんですけど、結婚を前にしてある日秘密が明るみになりました。』

小田切「秘密？」

井沢「うん。谷口には窃盗の前科があった。でも彼はその経歴を詐称して会社に入社してたんだ。」

山内「相馬さんは娘との交際を反対し、さらに谷口を解雇しようとした。その矢先、谷口が逆恨みをして爆弾を使い、巻き添いにして死のうとした。」

井沢「谷口は殺人をほのめかしたメールを、相馬さんに送りつけていたらしい。相馬さん本人から警察の上層部に相談があったそうだ。」

山内「で、そのあと赤川武志が事故死。桜木さんが失踪。」

井沢「赤川はうちの妻に電話した翌日に亡くなっている。さらにその翌日、妻と娘は宇佐美洋介に殺害された。」

小田切「桜木さんは失踪後、なぜか国際的な誘拐ビジネスの組織を追っていた。」

南「あぁー、謎が多すぎですねぇ...。」

『実は、おかしな事まだあるんですよ。』

南「まだあるの！？」

『相馬さんは事件が解決してから一週間後に、現地で交通事故で亡くなっています。』

井沢「まぁ、確かに謎は多いけども、これらは全て一つに繋がってるはずだよ。」

山内「東堂さんはほんとに何も知らないのか。」

小田切「でも、万が一東堂さんが桜木さんのことで何か隠していたとして、それで私達に彼女を追えって言う？」

南「危険人物を取捨選択できますからね、あの人は。」

井沢「......。」

山内「井沢さん？」

井沢「とにかく、谷口の事件の裏を探ってみよう。谷口には弟がいる。それと、元交際相手の相馬由紀子さん。まずはこの二人から話を聞こう。」

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