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『アイツ』が病室を出てから胸の奥が軋んで、血を混じえた咳をした。
思わず手で抑えると、俺の右の手のひらが真っ赤に染まった。
…もうあんまり、時間はないのかな。
どうしたら俺は、ずっと『アイツ』の隣にいられるのだろうか。
「〇〇さん、今お時間よろしいですか?」
「…はい」
俺の担当医の先生が、俺のベッドの右隣に立った。
…何を言われるんだろうか、怖いな。
久しく感じていなかった恐怖、という感情に思わず身震いをした。
「どうしましたか? 肌寒いのであればお布団に入られたままで構いませんから」
「…いえ、このまま聞かせてください」
「わかりました。〇〇さん、手術を受けませんか?」
「手術、ですか?」
「はい、〇〇さんの病気は、お薬などを服用する内科的治療では完治しません。進行がゆっくりになるだけなんです。なので、我々医師は手術をおすすめしています」
「…成功率は…?」
「5割です」
…5割。2人に1人は病気が治っている、か…。
でも言い換えれば、2人に1人は治っていない。
「しかし、この病の厄介なところは再発率が高いというところなんです。再発率は8割、そして、再発してしまった場合は…」
「治らない、ということですか?」
「はい。2年後に再発する方が多いので、3年間再発しなければ完治したと言って良いと思います」
「…わかりました、少し考えさせてください」
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作者名:ぽむぽむ | 作成日時:2020年4月12日 1時