深紅と漆黒の恋物語 ｢shrn｣

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｢じゃあ、キヨハラくん。撮影終わったら連絡するね｣


｢うん、よろしくね｣



ショウたちは俺を置いてけぼりにしてご飯に行く約束を立ててた。


…一言くらいあってもええやん…。｢レンも行く?｣とか、言うて、誘ってくれてもええやん…。


2人だけでご飯行きたいん? 俺は邪魔なん?


俺の気持ちなんて露知らず、ショウは綺麗に微笑みながら俺の肩に手を置いた。



｢レン、楽屋戻ろっか｣


｢…おん、帰るか｣



俺はさり気なくショウの手を払って、楽屋の扉に手を掛けた。


ショウくんに向けとった笑顔のままで、俺に笑いかけんで。


俺、嫉妬しぃやから…ショウのその笑顔を他の人も見とるかと思うと、心がどす黒い靄で覆われるんよ。


ショウも、ショウくんも、悪気がないんはわかっとる。


やけど…恋人がおるんに、その恋人を放置して他のオトコ(ひと)と話すんは…どーなん…?


俺やったら平気やって思うとるん?


ショウくん相手やったら妬かんと思うとるんか…?そんなわけないやん…。よぉ知った仲やから、余計に妬くんよ…?


ショウくんはカッコええし、優しいし、背も高いし…。


俺は、ショウのええとこも、ショウくんのええとこも、沢山知っとるから…。


好きにならんと思うんやけど、でも、万が一、お互いのええとこを知ってもうたら…。


好きになってまう可能性も、ゼロやないやろ…?


両思いやってわかったら、ショウはきっと俺に別れを告げるんや。


｢キヨハラくんが好きだから、別れよ、レン｣なんて、俺の好きな笑顔で言うんかな。


それとも、｢レンよりキヨハラくんのことが好きになったんだ。だから、悪いけど別れて欲しい｣って、俺の嫌いな困ったような顔で言うんかな。


…どっちにしろ嫌や。ショウの隣におるんは、生涯俺だけでええ。その逆もまた然りや。


…でも、ショウくんと俺じゃ、勝ち目なんてないんよね…。

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