偽りの中の真実｢FK｣｢shrn｣ (ページ1)

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｢ヒロ、髪やって｣

歌舞伎町No.1のホストクラブ、EinfrierenのNo.1であるガヤことフジガヤタイスケがホストクラブお抱えの俺のところに来た。

Einfrieren、っつーのは、ドイツ語で凍る、って意味があるらしい。

ガヤは俺の幼馴染みで、元恋人。

彼奴は高校を卒業したあと、すぐにEinfrierenに入ってそのスタイルと容姿、巧みな話術でトップの座まで登り詰めたらしい。

一方俺は、専門大学に進学して美容師として、Feuerに入った。

ガヤに卒業と同時に振られた俺は、もう2度と会うことはないであろう完璧な恋人に恋い焦がれながら、美容師として腕を磨いていた。

そしたらFeuerは、ガヤがいるEinfrierenの専属美容室だったらしく、再会した俺たちはそれはまぁ気まずい雰囲気で。

ガヤの補佐みたいな人があたふたしてた。

でもまぁ今は、ガヤの髪を弄るのは俺、みたいな感じで、ガヤ専属の美容師みたいになっちゃった。

｢ヒーロ、早く｣

｢へいへい、そこ座って｣

｢今日は耳かけでよろしく｣

｢ん｣

ガヤの髪はフワフワしていて、セットしがいがある。

黒に近い茶色の髪色はガヤの顔によく似合っている。

｢ガヤさん! 横いいですか?｣

｢ショウ、うん、いいよ。ワタルにやってもらう?｣

｢あ、いえ、キシくんが来てるので、キシくんに頼みます!｣

｢ふふ、そっか。今日も頑張ろうね、ショウ｣

ガヤの隣に座ったのは、ガヤの次に高い売上を出しているショウ。

ガヤとはタイプの違うイケメンで、大きな目にサラサラの髪、高いハスキーボイスで世の女性のみならず男性をも虜にしてる。

まぁ、1番カッコイイのはガヤだけど。

ショウに優しい顔をして話しかけるガヤ。…モヤモヤするんだけど。