君を思えば思う程【青】 (ページ17)

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『失礼します』

「どうぞ」

扉の先には、さっき意図的に避けた人

学部長は軽く会釈して出ていってしまった

安「こんにちは」

横「こんにちは」

『安田さ…、横山さんも、どうして？』

横「忘れもん、届けに来た」

横山さんは自分の財布からわたしの学生証を出した

わたしはそれを受け取り、財布に入れた

『すみませんわざわざ、ありがとうございます』

横「まあ、目的はそれだけじゃないんやけど」

『？』

安「昨日のことやねんけど…、Aちゃんの気持ち考えんで誘おうとしてもうてごめんな？」

安田くんがわたしの前に立ってそう言った

あ、言いかけてたやつか…

安「嫌な思いさせてもうた、よな…」

『いや、そんなことはないです。むしろめっちゃ嬉しかったし。だけど…』

安「…？」

『安田くんたちはアイドルなんですよ？わたしみたいな一般人が、ましてや大学生がそんな深く関わったらあかんやないですか』

関わってもうたら、もうあとには引けなくなる

せやから、そうなる前に ____

『わたしは、アイドルとしてみんなを見てたい。プライベートまで関わるような関係には、なりたくないです。だからもう、わたしのことは忘れてください』

自意識過剰な部分もあると

自分でもめっちゃ自覚してるけど

また安田くんがここに

わたしの前に現れそうな気がして

『学生証、ありがとうございました。では』

引き止める安田くんや横山さんの声も振り切って

真菜のいる教室まで横目も降らずひたすら走った