ひとつ、屋根のしたで。 (ページ10)

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『仕事は辞めて解放されたけど、eighterに戻るのが怖かった。好きでいる自信が無くなっちゃったの』

何度も何度も

まるちゃんのことが頭によぎった

けど、またなにかされるんじゃないか

好きでいることは許されないんじゃないか

そう思ったらやっぱり無理で

毎日ふらふら歩き回って、不良みたいになってた

『そんなとき、街で偶然ヒナちゃんに会ったの』

ヒナちゃんはわたしの話を全部聞いてくれた

優しい人だった

わたしが無職だって知って

ジャニーさんにかけ合ってくれて

ジャニーさんもファンだって知った上で

わたしを採用してくれた

『最初はね、事務をしてたの。けど、ここに来る前の日に異動だって言われて。住所辿ってきたらこんなことになって』

丸「……」

『みんな一緒に住んでるって知ってたから、ヒナちゃんがインターホンに出た時にまさかなぁって思った』

丸「……」

『……しばらくしたら話そうかなって思ってたんだけど、一番知られたくない人に最初に話しちゃったね(笑)』

ごめんね、こんな話

って言って終わろうと思ったのに

ソファから立ち上がろうとした瞬間

まるちゃんに引っ張られた

『わっ、』

まるちゃんの手が、腰と頭に回された

抱きしめられてる、わたし、まるちゃんに…

『まるちゃ…』

丸「ごめん」

『……っ』

丸「Aちゃんに辛い思いさせた」

『なんで？まるちゃんは悪くないのに』

丸「でも、関係ないわけやないやん」

丸「だから、お願い。僕にも謝らせて？」

心の凍った部分をそっと溶かしていくように

まるちゃんの一言一言が胸に染みていく

丸「話してくれてありがとう」

『……う、』

丸「こんな僕を好きになってくれてありがとう」

涙は知らぬ間に流れてた

ただただ心のもやもやを全部流すように

わたしの涙は流れ続けた