ひとつ、屋根のしたで。 (ページ23)

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『はぁ…』

坂「どうした、ため息なんかついて」

『坂巻さーん助けてください』

ここ１ヶ月の仕事報告を無事に終えて

近くのカフェで坂巻さんとお昼ご飯

まるちゃんのことで、相談もしたかったしね

坂「丸山のこと、また好きになった？」

『一時期戻りかけたんですけど…』

坂「やっぱりアイドルだって思っちゃったか？」

『なんでわかるんですか』

坂「わかるよ。でもそんなもんだろ、ファンなんて」

現実見たら結構厳しいしなあ

って、坂巻さんは言う

坂「でも、アイドルなのに変わりはないし、これからもずっと変わらない。じゃあどうする」

『それが聞きたいんですけど…』

坂「ありのままを受け入れるしかないよ」

ごちそうさま

ひと足先に坂巻さんが食べ終わる

坂「そばにいるだけでも幸せなんだろ？」

『まあ、そうですね』

坂「だったら、アイドルじゃなくてひとりの人間として、仕事仲間として向き合ってみろ」

『それで、どうすれば…』

坂「谷中は谷中のできることを精一杯やれば、結果は必ず出る。自分もあいつらも信じてやれ」

仕事仲間として

ひとりの人間として

あいつらと向き合ってみろ

ヒナちゃんが言いたかったのはこれなのかな

わたしがアイドルとしての彼らを

完全に捨てきれてないから

ちょっとだけ距離を置いてたのを気づいたのかな

だからあの日、わたしに伝えたかったんだ

俺らはアイドルだけど関係ない

そんなんとっぱらって俺らと向き合ってくれ

一緒に頑張っていこうよ

って

「ちゃんと向き合ってみい」

あの言葉はそういう意味だったのかな

『坂巻さん。わたし、みんなに全部話します』

坂「うん」

『隠しても意味無いって分かりました。わたしにはいつでもみんながいます。ちゃんと向き合います、向き合ってもらいます』

坂「うん。あ、送ってくよ。丸山さみしがってると思うぞ～(笑)」

『あはは、そうだといいんですけど(笑)』

坂「お前の気持ち伝えてこい」

『はい』