伊野尾と俺らの不思議な毎日 (ページ24)

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伊野尾side

みんなが寝たのを確認して、俺は部屋を出た。

行く当ては特になくて、とりあえず廊下を歩く。

廊下には、幼稚園のみんなが遊んでいる写真や、旅行に行った写真が飾ってある。

ははっ、かわいー…

伊「…あ。」

体育館…
鍵、空いてるし…。

伊「いいや、入っちゃえ。」

中に足を踏み入れると、独特な木の匂い。

そういえば昨日、大ちゃんたちがここでドッヂボールしてたっけ。

めっちゃ本気でやってたなぁ…

目を倉庫に向ければ、微かに空いているドア。
午後も使うからって、開けておいたのかもしれない。

ドッヂボールの玉がいくつか見えた。

１つ手に取ってみる

…なにを思うのが正しいのか。

"俺が幼稚園生の頃は…"
なんて、思い出に浸るのが正解なのだろうか。

…分からない。

こんな時の答えも、今までも、全部。

分からないことばかりだ。

広い体育館。

子供の笑顔や笑い声が響くこの場所に、
こんなどす黒い俺がいるべきなのだろうか。

伊「…かえろ。」

ドッヂボールをしまい、念のために持ってた全てのスペアキーを使って、倉庫を閉める。

【ガタ】

…？

後ろを振り向く。

…ほんの一瞬、ふわふわの髪の毛が見えた気がした。

伊「…気のせいかな？」

入り口の鍵も閉めて、さぁ帰ろうーー

キラッ

伊「なんだこれ、キラキラして…あ、ミサンガ？」

あれ、このミサンガどっかで見たような…

…山田涼介…

伊「なんて山田のがここに？」

今日の朝ミサンガを見つけて、体育館でのお遊びは、なし。

…普通だったらここに落ちてるはずないのに…

さっきのふわふわの髪といい、…何かあるのかな？

山田……聞いてみよう。