そばにいさせて【怪盗キッド】

お宝攻防戦 9 ページ38

ピーンポーン



「はーい」



中から声が聞こえ、その直後玄関のドアが開く。



「お邪魔します！」


私は一礼し、中に入る。



そしていつも通りリビングに向かった。




「なにこれ！」




リビングの机の上には大量の盃と手紙が置いてあった。




「Aちゃんいい所に来た！手伝ってくれー」




快斗から手袋を受け取り、手にはめる。




「これも全部偽物？」



「そうなんだよ。樽見の倉庫から拝借してきた。明日これを返す」




「こんなに！？」



私は1個1個手に取ってみる。


結構綺麗に模造されていた。



「帰り道、博物館の近くまで寄ったんだけど、名探偵とAが外に出ててビックリしたぜ」



コナン君が雨だと気づいた時のことだろう。



「あ、そういえば明日金属探知機が導入されるよ」




「まじ？予定通りだな！」






黙々と模造品たちを袋に入れていく。



袋がぱんぱんになると新しい袋を出し、また詰めていく。

割と多すぎて中々終わらない。



すると外から大きな声が聞こえてきた。





「快斗ーーー！！！ご飯よーーー！！」




我が愛しの青子ちゃんだ。




「やっべ、もうこんな時間か。終わるかぁ？これ」



「食べてきなよ。私続きやっとくから」





私は黙々と作業していく。



すると突然、快斗は手袋をはずし携帯を取りだす。


何回かタップした後、耳に当てる。




「もしもし？青子か？」



私は顔を上げ、快斗を見る。



「今、Aもいるんだけど、一緒に飯いいか？」



「快斗……急には申し訳ないよ……」


眉毛を下げ、首を振る。




すると快斗はニッと笑った。



「さんきゅ！じゃあ今から行く！」



電話を切って私に体を向けた。



「青子大丈夫だってよ」



「え！？急なのに……んーありがたい……」


手を合わせ一礼した。





少しの間があき、快斗が真剣な顔をして私を見つめる。



「…………さっき、ムスッとしながら行ってきなよって言ってたけど……本当はちょっと嫉妬してた？」




突然のセリフに驚く。
が、すぐに表情を戻す。



「……嫉妬した。私も青子ちゃんのご飯食べたい！！ってね」


私はすました顔で手袋をはずし、席から立った。




「……さいですか」



快斗も続けて席を立つ。



(……そんな顔に出てたかな)



熱くなっていく顔を冷やすように、私は両手を頬に添えた。

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