隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

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「俺は君のことを思って言ってるんだぜ？
こんなに血塗れになってまで戦った君の勇気を称えたいんだ」




頰に添えられた手が
凍らされた右腕、切り裂かれた肩口を撫でるように移動する


いつもなら問答無用で跳ね除ける所だったが
生憎そんな体力はもう残っていない




体力的にも精神的にも限界を超えた上
唯一の武器も失った




入隊してから刃こぼれすらすることのなかった自慢の愛刀



隠になってからも手放すことなく
今までずっと一緒にやって来た



私の大事な相棒...







残った短刀の一部を撫でるように優しくなぞる
その刀身は折れた今でも綺麗な鋼色のまま残っていた





そんな大切な短刀をいとも簡単に折られ
私では一生埋めることのできない差を見せつけられた今


今の自分に何ができると言うのだろうか




これ以上頑張って何になる？




向かう先は“死”のみ



足掻いたって結果はなんにも変わらないじゃないか






どれだけ自分を奮いたて刀を握ったとしても
所詮この程度


最初から勝てる相手じゃない





無理だよ...




もう、戦えないよ私





「これまでずっと我慢し続けてきたんだろう？
でも大丈夫...もう無理しなくていいんだ」







痛いの...




凍らされた腕がジクジク痛んで辛いの...





肩口もバッサリ切られて
腕だってもう上がらない...





ねぇ...私どうすればいいの？






「せめて話して楽になろう？
俺は君に絡む全てのしがらみから解き放ってあげたいんだ」









そうね






もうどうせ助からないんだから






最期くらい...ね？








『戦うのはもう疲れました』






そう言うと童磨は「戦わなくていい、もういいんだ」と首を振る







「うん...君はよく頑張った
さぁ話してごらん？きっと楽になれるよ」








そうですね




これさえ話して仕舞えば楽になれる









たった四文字








私は、はっきりと童磨に伝えた









『いやです』





あ！そうだ






鬼殺隊の情報の代わりと言っては何ですが






私からの最っ高の嫌がらせ






貴女に無償で贈ってさしあげますよ？

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