隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

置いていかないで ページ21

師範と別れた後
私は真っ先に両親の元へ向かった


鍛錬に打ち込むため
二年間ずっと会うのを躊躇っていたから


二人に早く会いたくて会いたくて仕方がなかった






そう、





会いたかったんだ




昔のように温かい笑顔で抱きしめて欲しかった




これからたらふくご飯を食べていけるよって言いたかった





二人が好きだって言ってた白米だって
毎日食べれるよって


言いたかった








でも...





家に帰った私を待っていたのは



二人の温かい笑顔でも



家族の温もりでもなく








『え...？』




重たい支給服がドサリと地面に落ちる




そう、



数年ぶりに帰ってきた私を出迎えたのは





氷のように冷たくなった
両親の亡骸と絶望だけだった






『ぁ...あ”ぁああああッ！！』






床に倒れた父と母に駆け寄る




生気を失った青白い肌
その冷え切った身体がもうあの温かい父と母は帰ってこないということを
“証明”していた







私は父と母の亡骸を抱きしめ
喉が枯れるまで泣き叫ぶことしかできなかった


今まで築き上げてきたかけがえのないモノが
たった一日で崩れ落ちていった




その事実がたった一人取り残された私を打ちのめした







『おかあさん...おとうさん
ごめんなさい...ごめんなさいッごめんなさいッ』





最期の別れに立ち会うことすら出来ず





恩を返しきることも出来なかった




親不孝な私を




どうかゆるしてくださいッ





そうして私は残った両親の亡骸を
壊れるほど抱きしめていた...

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