隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

苦い思い出 ページ17

懐から短刀を取り出す



持ってきておいて正解だった
元々こんな時の為に用意していた訳じゃないけど…





「へぇ、そんなちっちゃい日輪刀もあるんだー！」




『小さいからって侮ってると後悔しますよ』




本来鬼に拘束された隊士を救助するために


持っていたものだったがまさかこんな使い方をする日が来るとは



想像もしなかったなぁ





「あれれ？でもその刀色がついてないね？
鋼の色がそのまま残ってる」



童磨と名乗った男はわざとらしく首を捻り
ニタァっと気味の悪い笑みを浮かべ


こう言った



「あ、そっかぁー
君は弱いから色が変わらなかったんだね」




『……』




図星だった



私の日輪刀は色が変わっていない


弱かったから
剣士の才能もなかったから

呼吸法もまともに習得できなくて
育手のおじさんによく怒られた





それでも最終選別を死ぬ気で生き抜いて


やっと隊士になれた…






そう思っていたけど





入隊して早々に私は



"現実"を突きつけられた









「ほら彼奴、日輪刀の色が変わってないやつ」




「しかも雑魚に何度もやられて帰ってきたらしいぜ」




「きっとろくに昇進も出来ないで死ぬぞ彼奴」




周りの蔑むような視線



何度も嘲笑され厳しい現実を目の当たりにしてきた



悔しいと思う反面
傷は増えていくばかり…




それでも…





そんな地獄のような日々が続くなか、


それでも私が
頑なに鬼殺隊を辞めようとしなかったのは




どうしても叶えたい【夢】があったからだった

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