隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

ごめんね ページ15

「今日は運がいいなぁー
若くて肉つきの良い女の子と巡り会えたんだから
神さまに感謝しなきゃなぁー！」





『......』





状況は最悪...




藤の香も掻き消され
夜明けまでまだかなりの時間がある



しかもこの辺は穴場で巡回してる隊士も少ないから
柱のような実力を持った隊士はまず来ないと断言しても良いだろう...


ほんと、ツイてないよね...





「な、なんでこんな所に上弦の鬼がいんだよッ」



「えぇー、そんな悲しいこと言わないでおくれよ〜
俺はいつだって君達人間を救おうと思ってるんだぜ？」



奴はニコニコと親しげな笑みを浮かべるが


なんだかその笑顔がやけに空っぽに見えた




「やぁやぁ！初めまして！
俺の名は童磨、よろしくね！！」




誰が人喰い鬼とよろしくなんかするか

できればそのまま回れ右してお家にお帰り願いたい



というか、帰れ…





「ねぇねぇシカトは酷くないかい？」









"俺はもっと君のこと知りたいんだ！"






先ほどと全く変わらぬ無邪気な笑顔で
そう言った









【知りたい】ねぇ…







その言葉を聞いて
私はある決心をした…





最悪の結末を回避する為




今の"私"に為すべきことを




私はするだけだ





『先輩は逃げてください』





そう小声で伝えると
先輩はぎょっと目を見開く




「ふざけてんのか！！この状態でお前を置いて逃げれるわけねぇだろ！俺はお前の上司だぞ！」




『勘違いしないでください、これはあくまでも戦略的撤退です』




熱くなった先輩を宥めるように
そう論するがそれでも先輩は引き下がる様子はない


知ってますよ


どれだけ貴方と一緒に居たと思ってるんですか




貴方がとんでもないお人好しだって



私、知ってるんです



大荷物を抱えたおばあさんが足を挫いてしまった時
その荷物ごと背負ってお家まで送ったり


母親とはぐれた兄弟に
日が暮れるまでずっと付き添って

母親が見つかるまで街の人に聞き込みをしたり



貴方がとっても優しい人だって私知ってるんですよ








でも…





私もそう簡単には引き下がれないんです








ごめんなさい、後藤さん






『貴方にしか頼めないんです』






ずる賢い私をどうかお許しください

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