隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

赤い罠 ページ26

全集中の呼吸...




数年ぶりに使うが、腕鈍ってないといいな...



呼吸の型は使えなくても
全集中の呼吸で一時的に身体能力が強化されれば

日の出までなんとか持つだろう...




「へぇ、君呼吸使えたんだね〜
非戦闘員なのに頑張って偉いねぇ！」




『このッ...さっさと拠点に帰れエセ教祖！！』




正に火事場の馬鹿力



止血するほど余裕はないから
呼吸は全て攻撃と防御に回す

いつ出血多量でぶっ倒れてもおかしくない
凍傷で腕が上がらなくなるのも時間の問題...


だから動けるうちに此奴を最大限に引きつける！





「苦しいだろう？今俺が救ってあげるからね」




『控えめにいって気持ち悪いので
お帰りください！！』




もう此奴本当ブレないんだけどッ！！



救ってもらいたいなんて毛ほども思ってないから

これほどまでに日本語が通じない相手に出会ったことはない
同じ日本人なのにどうしてこうも話が通じないんだ可笑しいだろ...




「大丈夫、君は俺の中で永遠に生き続けるから
極楽へ行こう...そして永遠の刻を共に過ごそう！」




両手を広げながら
まるでさも当然のように奴は語る



極楽という言葉が
グルグルと頭の中を回る




極楽...



極楽ねぇ...





そんなもの存在しているなら
ぜひとも見せて欲しいものだ...


この時代に安全な場所なんてない
ましてや救いなんて初めから存在すらしていなかった






だから救いは自分たちで作るしかない


どれだけ待っていても神様は私たちを救ってはくれないから


自分から動かぬ限り幸せなんて一生手に入らないから







だから、



私は此奴と戦わないといけない




戦わないといけないんだ...





けれど、私はこの上弦の弐と言う人物を甘く見過ぎていた







「んー、もう日の出も近いしなぁ
手っ取り早く“君”だけ頂いちゃおうかな！」





童磨がわざとらしくそう言ったと思ったら






『え...？』







なんと、瞬き一度にも満たない時間で
私の間合いに入ってきた...




私は反射的に短刀を振りかざす







しかし、




必死の抵抗も空しく





私の短刀はあっけなく折れた...

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