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本音 ページ30

「何か...悩み事ですか?」



ヒュっと一瞬息が詰まった
此方を覗き込むようにして炭治郎くんは言った





『...どうしてそう思ったの?』




声が震えていないか心配だった



なるべく平静を装って私はわざとらしくそう返した





「...俺、鼻が効くんだ
今のAさんからは酷く切ない香りがする」




『香り...?』



炭治郎は鼻が効くみたいだ
きっと隠し事は効かないんだろう



もしかしたら炭治郎は私以上に私のことを...




知っているのかもしれない



炭治郎は信用できる...


私は思い切って全てを話すことにした




『...私はこの隠の仕事を誇りに思ってる
一般隊士のように鬼と真正面に戦う事はできなくても
傷ついた人達の為に役に立てるこの仕事が...私は好き』




「うん...」





『でも...でもね、たまに思うんだ
傷ついた人達を見るたびに戦えない自分が...非力な自分が情けなくて』





...無力な私じゃ鬼と戦うことはできなくて



しょうがないことだって割り切ろうとしても
呪いのように背中からくっついて離れない...


なんの力もない自分が嫌で...





日に日に自分が嫌になってくるばかりで...





もう...





『どうしたらいいか...わかんなくなってきてさ』





沈黙がしばらくの間庭を支配した
お互いに唇を動かさず


数分が経過した





...最初に沈黙を破ったのは
炭治郎君の方だった





「...そこまで自分を追い詰める必要はないと思います
だって、Aさんは隠として何人もの人を救い続けてきたじゃないですか!」




『隠として...』





炭治郎は太陽みたいだ
掛けてくる言葉一つ一つが陽だまりのように暖かかった


冷え切った心が徐々に溶かされていくような



ちょっと不思議な感覚に陥る








「俺や柱の人達にしかできないことがあるように
AさんにもAさんにしかできないことがあるはずだから!」









「“だから”泣かないで?...」








その短い一言が
私の心をかき乱す...

心からの笑みを→←思えば君はいつも...



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Rio(プロフ) - 涙さん» 実際に読み直してみたのですが確かに違和感がありました!態々コメントしてくださりありがとうございます!問題のその場面は修正させて頂きます。貴重な御意見を寄せて下さり有り難うございました! (2019年10月26日 20時) (レス) id: 77029a2e18 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 焼け石に水少し意味が違う気がします (2019年10月26日 19時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - りゅうさん» 返信が遅くなり申し訳ありませんでした!暖かいコメントを頂き作者は幸せ者です!もうすぐ続編の製作が完了致しますのでどうぞお楽しみに! (2019年10月10日 16時) (レス) id: afbca9230e (このIDを非表示/違反報告)
りゅう - 初めまして!この度小説を拝見させて頂きました!隠しのお話は数が少ないので見かけた際は本当に嬉しかったです!中でも私は後藤さん推しなので本当に嬉しいです(涙)もっと後藤さんとの絡みが読みたいです!これからも楽しみにしています! (2019年10月9日 17時) (レス) id: 4289bd19b6 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - こころがモフモフするんじゃぁ〜さん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも頑張っていきますので乞うご期待ください! (2019年9月29日 20時) (レス) id: afbca9230e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rio | 作成日時:2019年8月26日 9時

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