君との過去と、君との未来を。 (ページ5)

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「とりあえず、朝飯食べようか。」と声を掛けられて彼に付いていった先はリビング。

鼻腔をくすぐる良い匂いが部屋に広がっている。
シンプルなテーブルの上には2人分の朝食が置いてあった。

赤「え…俺の分まで？」

黄「うん、まぁせっかくだから。飲み物何が良い？あ、コーヒーは無いけど…」

苺ジャムが塗られたトーストを頬張りながら、俺とセンパイは話をした。

最初は自己紹介から。

彼の名前は高地優吾さん。
大学4年生で、俺の2つ先輩。

俺より2年多く生きているだけなのに、なんだかとても大人びて見えた。

次に、昨日の出来事について教えてもらった。まぁ、センパイが勝手に話し始めたんだけど笑

昨日センパイは彼の知り合いに居酒屋に連れ回されていたらしい。

車で来ていたセンパイは勿論酒は飲まず。

ようやく解放された頃には既に日を跨いでいて、帰路につく途中に道端で蹲っている俺を見つけた。

トイレで眠りこけた俺をほっとくわけにもいかないから、と車に乗せて家に連れ帰ったという内容だった。

黄「君さぁ、覚えてないの？
車から降りる時に起こそうとしたらバッて目開けて急に爆笑してたんだよ。」

赤「マジすか？そいつやばくないすか？」

黄「いやお前の事だから！！」

赤「AHAHA！！」

黄「あーっ、その笑いだよ！！近所迷惑だから黙れって言ったらまた寝ようとするし…

ぷッ…なんかもう笑えて来たわ笑」

怒ったかと思えば、くしゃっと笑って。

感情が豊かな人だなぁ、と感じた。

無くなる目と、笑い皺。
それを見ると自然に自分の口元も緩んでしまった。

俺たちは初対面なのに、まるで昔からの友人みたいに会話は弾んでいた。

それは、彼の柔らかくて人当たりの良い雰囲気のお陰だと思う。

この人と一緒にいる時間は楽しいと心から思えた。

黄「俺もう準備して大学行くわ…君は？」

赤「俺も行きます！」

黄「じゃあシャワー浴びてきなーあんま時間も無いし急いで！」

赤「ハイ！！」

シャワーを浴びながら、ふぅと息を吐く。

初対面の相手に何でこんなに親切にできるんだろうか。
優しすぎて、逆に不安になってくる。
至れり尽くせりじゃん、こんなの。

赤「風呂、ありがとうございました。」

黄「ん、じゃあもう出よう。同じ大学だし一緒に行くかー」