ファインダーの向こうの貴方 (ページ9)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:9,907 hit

９ページ9

.

あれから数日たった

阿部さんに会いたくて毎日夕方にはあの公園に行ってる

もちろんカメラを持って

でも一度も会わなかった

『確かにいつ来るとか言ってなかったもんな…』

つい声が漏れてしまった

夕日の写真を一枚撮った
暇だったし

帰ろっかな
阿部さんに会えないならここにいる意味ないし

出口に向かって足を向けた時びっくりした

そこにはあのベンチに座っている阿部さんがいたから

『…へ？え？あの…阿部さん…？』

「はい阿部です笑」

優しく微笑みながら返事をした阿部さん

いつの間に来ていたのか
そんなに広くない公園だから誰かが入ってきたらわかるはずなのに

全く気がつかなかった…
気配消すの上手いな…

「久しぶり？」

『ぁ、はい、お久しぶりです』

「あれからどのくらい経った？」

『あれから？』

「あーほら、前にここで会った時から
どのくらい経った？」

『一週間くらいですね、』

「もうそんなに経ったのか…」

阿部さんはちょっととぼけた顔でそう呟いた

「ごめんね、待たせちゃったね
許して？」

首を傾げて上目遣い

やっぱりあざとい。可愛い。

っていうか

『怒ってないですよ？』

「あ、そうなの？
言葉が堅いから怒ってるのかと思った笑」

『あー多分リセットされてるんだと思います」

「リセット？」

『人見知りがリセットされてる』

そう、元々人見知りの私は今こうやって阿部さんと話せてるのも奇跡くらい