ファインダーの向こうの貴方 (ページ11)

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『顔をちょっと右側向けて…そうです！』

あれから何も言えなくて結局写真撮影を始めた
ん？始めさせられた？どっちだ？

まいっか

「そういえばさ」

『ん？』

「Aちゃんっていつもそこ覗いてるよね？」

阿部さんは私の持っているカメラのファインダーを指差した

ファインダーっていうのはカメラで写真を撮る時に画角とかを確認するために覗く穴のようなもの
説明難しいな…

私の持ってるカメラは比較的新しい型だからモニターも設備されてるしファインダーを覗かなくても写真を撮ることができる。

それでもファインダーを覗くのは…

『…なんかエモい感じしません？ファインダー越しの風景って』

ちょっとだけ嘘をついてしまった
けど間違いではないし…

「エモい？」

『はい、エモく感じます』

「ごめん、エモいって何？」

『あー、えっと、エモーショナルの略なんですけど、
んーなんていうのかな…えっと、ちょっと待ってくださいね』

「ごめんごめん笑
そんな難しく考えなくてもいいよ！
エモーショナルね！分かった！」

『あ、はい』

「正直よく分かってないけどこれから知ってくよ！」

『なんかごめんなさい笑』

「いいのいいの！
日本語って難しいね」

『はい、まぁエモーショナルは英語ですけど笑』

「あ、そっか」

阿部さんって意外と天然？
やっぱ可愛らしいな

それからまた日が落ちるまで阿部さんを撮り続けた