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立て続けに2回、家のチャイムが鳴る音で目が覚めた。
1回目は夢うつつにそれを聞き、こちらの反応を伺うような間があってから2回目のチャイムを鳴らされたときに意識が覚醒した。
いま何時だと目線だけを動かして部屋のデジタル時計を見れば、まだ19時過ぎ。
外は橙色のカケラも残さずすっかり暗くなり、窓から差し込む青白い月の光がベッドの足元まで差し迫っている。
近所にはここと同じかそれ以上に背の高いマンションがあるというのに、カーテンすら閉めずに寝てしまったことにびっくりだ。
じゃなくて、チャイムチャイム。
起きあがろうと布団を軽く避けたところで動きが止まった。
廊下につながる部屋の扉を見つめると、はぁ、と大きめのため息が溢れる。
身体をわずかに捩っただけで、さっきよりも体調が悪くなっていることに気が付いてしまったからだ。
急変したとまではいかなくとも、大波の中を漂う小舟のように、身体中の至る所で違和感と不快感がうねっている。
寝室からインターホンのあるダイニングまでの距離なんて大したことないはずなのに、行くのがめんどくさくて仕方がなかった。
そりゃ、動こうと思えば動けるが。
元旦の夜に誰かが訪ねてくるような予定は入れていないし、直近で何かを注文した覚えもない。
相手が気にならないわけではないが、重たい身体を引きずってモニターを覗きに行く好奇心よりも、今は身体を取り巻く倦怠感の方が圧倒的に勝っている。
──申し訳ないが、今日は居留守を使わせてもらおう。
本当に必要な要件なら、フロントのスタッフさんがきちんと対応してくれるはずだ。
シンと静まりかえった暗がりのなか、2回もチャイムを鳴らした見知らぬ相手に「ごめんなさい」と心の中で謝る。
眠くはないが、もう少し寝ておこうとせっかく避けた布団を手繰り寄せたところで、今度は枕の横に放り投げていたケータイがピカピカと光った。
目と鼻の先。
そのあまりの眩しさに思わず目を細めて手を伸ばす。
「あ゛でで…」
ちょっと身体を動かしただけなのに、腕から肩にかけて筋肉痛のような鈍痛が響いた。
寝る前には感じなかった痛みにギクリとする。
まさかインフルエンザに罹患してしまったのかと一瞬ヒヤリとしたが、すぐに前日のコンサートで差し入れ用に企業から提供された飲み物をケースごと、それも何往復も色んなグループの楽屋に運びこんでいたことを思い出して安堵した。
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泥濘(プロフ) - ちいさいばあばあさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。話の展開がゆっくりですが、引き続き今後の展開を見守っていただければ幸いです。 (2月25日 22時) (
レス) id: 014ca7ae0d (このIDを非表示/違反報告)
ちいさいばあばあ(プロフ) - あべちゃんとマネちゃんが付き合う事になるといいですね。 (2月14日 17時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘 | 作成日時：2024年1月25日 0時
