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『あ！でも関節は痛くないからインフルでは無さそうだし、さっき薬飲んだらだいぶ楽になったからすぐに治ると思う』
だから平気だよーと、心配性な阿部さんに問い詰められる前に、現在の症状を追加で送ってアピールする。
読み返してみると構ってちゃんみたいな、言い訳じみた文章に見えなくもなかったが、2つとも既読がつき戻ってきた阿部さんからの返信は意外にもあっさりとしたものだった。
『マジか、くれぐれもお大事にね。たくさん寝て、ちゃんと水分補給はするんだよ。てか俺そっちに行こうか？』
行こうか？だって。
ふにゃりと緩んだ頬に手を添えた。
社交辞令だとは分かっていても、彼の優しさはじんわりと身に染みる。
本当に来てくれたら良いのに。
そう思ってしまうのは風邪を引いたことで心に隙が出来たのと、ほんのすこーしだけ弱っている証拠である。
ケータイの画面のうえを、指が彷徨う。
『来てください』と送って、すぐその後に『なんて、冗談です』と伝えれば許されるだろうか？
考えて、やめた。
阿部さんは善意で心配してくれているのに、そこに邪な気持ちをぶつけるのは違う気がした。
本心とは真逆の言葉を打ち込んだ。
妙な間が開けば、阿部さんはさらに私を心配するに決まっている。
『ううん、ありがと』
『分かった』
シンプルな文章だった。
それと一緒に、猫みたいな犬みたいな動物のイラストが目をうるうるさせている謎のスタンプが送られてくる。
いつものことながら、阿部さんの送ってくるスタンプは唯一無二というか癖が強い。
会話に一区切りついたところで、もうそろそろ引き上げなければ。
せっかく実家に戻っているのに、いつまでも風邪っぴきのチャットに付き合わせてしまってはご家族にも申し訳ない。
サメの着ぐるみを被った猫がシュンとしているスタンプを一つ送り、既読が着くのを確認してからケータイの画面を消した。
布団の中でもぞもぞと動きながら寝やすい体勢を探し、仰向けになった。
落ち着くとため息を一つ。
正月は病院もやってない。
とにかく今は市販の風邪薬と気合いで治すしか方法はない。
忍び寄ってきた背中をなぞるような悪寒を誤魔化すように、布団を肩まですっぽり被って目を閉じる。
さてこんな状態で寝れるだろうか。
そう思ったのも一瞬で、幸いにも眠気はすぐに襲ってきた。
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泥濘(プロフ) - ちいさいばあばあさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。話の展開がゆっくりですが、引き続き今後の展開を見守っていただければ幸いです。 (2月25日 22時) (
レス) id: 014ca7ae0d (このIDを非表示/違反報告)
ちいさいばあばあ(プロフ) - あべちゃんとマネちゃんが付き合う事になるといいですね。 (2月14日 17時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘 | 作成日時：2024年1月25日 0時
