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マジで理解に苦しむのだが、ここまで散々な態度をとっておきながら、それでも両親は「立派に子育てを成し遂げた」と自負していて、特に母は私に結婚を望んでいた。
だけどこちらはこんな性格なので、結婚どころか、二十歳をすぎるまで誰かと付き合うことすら出来なかった。
恋愛に関しても両親の価値観は独特で、彼らはなぜか、男女の色恋を異様に毛嫌いしていた節があった。
キスシーンですらテレビに映るとチャンネルを変えたり「くだらない」と顔を顰めている姿をよく見ていたし、私が少しでも髪を染めたり爪を整えたりしただけで「色気付いて気持ち悪い」と吐き捨ててくる。
そんな環境にいたので当然恋とは何か、愛とは何かよく分からなかったし、恋愛はおろか、その先の行為すら嫌悪感を感じるようになった。
そうでなくとも、奴らを見ていたら「いつか誰かと結婚したい」なんて、髪の毛の先ほども思えるはずがなかった。
大学を卒業し、私は就職をしなかった。
はっきりと言われていたのだ。
「お前に一人暮らしはさせない。稼いだ金は家に入れろ。お前をここまで育てた恩として、女なんだから将来は親の介護をするべきだ」と。
友人はいなかったが、大学生活における外部との接触で真っ当な価値観を養い、これまでの両親の異常性を十分に理解してた私は、その発言を受けていよいよ恐ろしくなった。
このままでは一生、こいつらに飼い殺しにされる。
さすがにいつまでも「分かりました」と言いなりになるつもりはなかった。
なので私は就活に失敗したていでこっそりと芸能活動を続け、表では昼間のカフェのアルバイトで稼いだ給料のほとんどを家に納め、裏では芸能活動で得たギャランティや単発の日給の良い日雇い仕事で貯金を増やしつつ、息を顰めながら家を出るチャンスをうかがっていた。
母が私を産んだ年齢を過ぎた頃、ついに家族からは何も言われなくなった。
あれだけ過干渉だった日常に口出しをされなくなり、それと同時に、「大学まで出たのにいつまでも就職出来ない親不孝な娘」という印象を親族に与えたことで、ついに私は誰からも見向きされなくなり、正々堂々と家を出ることを許されたのだ。
完全に見放された。
それが分かったとき、心の底から震えるような感動を覚えた。
実際に嬉しくて嬉しくて、ボストンバック一つに詰め込まれたこれまでの人生を抱き抱えながら道路の片隅に蹲り、泣いた。
私はようやく、彼らの元から逃げることができたのだ。
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泥濘(プロフ) - ちいさいばあばあさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。話の展開がゆっくりですが、引き続き今後の展開を見守っていただければ幸いです。 (2月25日 22時) (
レス) id: 014ca7ae0d (このIDを非表示/違反報告)
ちいさいばあばあ(プロフ) - あべちゃんとマネちゃんが付き合う事になるといいですね。 (2月14日 17時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘 | 作成日時：2024年1月25日 0時
