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特に喉の状態は毎回最悪だった。
最低でも三日。
長引けば一週間ほど。
扁桃腺が腫れれば固形物はおろか、自分の唾さえ飲み込むのを躊躇うほどの激痛が走る。
夜になると咳は止まらなくなるし、喉の奥からは黄色く変色したねばっこい痰も出続けた。
そんな状態でも両親の私への対応は一切変わることはない。
いつものように生活態度や所作について彼らの癇に障ってしまった部分のお叱りを受け、食事もいつものものを用意される。
この時の食事は、特に注意が必要だった。
カレーだろうが麻婆豆腐だろうが野菜炒めだろうが彼らには関係ない。
私が体調を理由に、料理に対して少しでもネガティブな反応を見せたり、残したりすれば、恐ろしいほどの剣幕で怒鳴られた。
「お前は食事を作った人の気持ちも考えられないのか」
「育ててもらってる分際で偉そうに。少しでも残してみろ、金輪際お前の分は用意しないからな」
「こうなったのも、だらしないお前の責任だろうが」
厄介なのはこれが一度始まると、なかなか終わらないことだ。
機関銃みたいな言葉を、まだ自分一人では体調管理も碌にできない小学生の子供に平気で浴びせてくるような奴らだった。
可哀想に、非力で幼い私はどんなに辛くても苦しくても平気なフリを装って口角を無理やり上げ、激痛やら吐き気やらを耐え忍びながら、出された食事をちまちまと完食していたのである。
割と早いうちから両親の異常さはある程度理解し諦めていたので、「ウチの親はパンチ効いてんな」とどこか俯瞰して彼らを見ている節はあった。
ただしそれを指摘したり、言い返したりすると、顔を真っ赤にして怒りに震える両親から躾と称して拳が何発も飛んできてとんでもない目に遭うので、関わらず、反抗せず、聞き流すのが最善だと学んだ。
そうする事しか出来なかった。
また厄介なことに、両親は外ヅラが大変良く「厳格な旦那さんと良妻賢母のお嫁さん」「子供の躾が行き届いた素敵なご家庭」という恐ろしいイメージを周辺の人間にしっかりと植え付けてくれていたおかげで、私には助けてくれるような人も、縋れるような人も、盾になってくれる人も現れなかった。
──味方などいない。自分の身は自分で守るしかない。
人生において一番初めに『敵』として認識をしたのは、小学校のクラスで私にちょっかいを掛けてくる年中タンクトップのガキ大将相手でも、暇つぶしを理由に何かにつけてハブってくる女子相手でもなく、私の両親だった。
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泥濘(プロフ) - ちいさいばあばあさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。話の展開がゆっくりですが、引き続き今後の展開を見守っていただければ幸いです。 (2月25日 22時) (
レス) id: 014ca7ae0d (このIDを非表示/違反報告)
ちいさいばあばあ(プロフ) - あべちゃんとマネちゃんが付き合う事になるといいですね。 (2月14日 17時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘 | 作成日時：2024年1月25日 0時
