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静まり返った廊下に、コツコツと微かな靴音が響いていた。
『初詣か良いな〜！私も少し寝て元気があったら行ってみます。
休暇中はずっとこっちにいますよ。免許の本試験が控えているのと、年末できなかった大掃除とかやりたかったし』
『そっか、了解。本試験頑張ってね！俺も二、三日で帰るつもりなんだけど実家から出るつもりないし、都内にはいるから何かあれば遠慮なく連絡してね』
そんな文章にギョッとする。
『いやいやそんなお気遣いなく！ご家族とゆっくり過ごしてくださいな』
『うん、そうさせてもらうつもり。でもホント、何か困ったことがあってもなくても連絡して』
つまり、暇つぶしのやり取りに付き合うと彼は言っているのだ。
「いや、良い人すぎるだろ」
トーク画面にこっそり突っ込みながら自宅玄関のドアを開けた。
「ただいまぁ」
ひっそりと静まり返る部屋から、当然「おかえり」は返ってこない。
これはただの私の癖である。
玄関に入り、靴を脱ぐ。
たったそれだけの作業なのにいつもより時間が掛かったのは、丸一日働き通した体に取り入れたラーメンとビールが今更になって響いてきたからだ。
バランス感覚の悪い体を支えるように壁に手をつき、廊下を歩く。
のろのろとした動作で手洗いとうがいを済ませると、吸い込まれるようにダイニングへ直行した。
ラグの上に脱ぎ散らかしたスウェットをかき集めて着替える。
その時点でもうすでに限界だった。
ちょっとだけ、と自分に言い聞かせながらソファに雪崩れ込んだら、もうダメだった。
「あー…これは、立てん」
重力に逆らうことなく頬を、上半身を、太ももをべったりとソファに預けると、そのまま溶けてくっつきそうな感覚になる。
本当はメイクを落としてシャワーを浴びたいと思っているのに、ずぶずぶと体が沈み、抵抗らしい抵抗もできない。
近年稀に見る疲労感である。
普段は謙遜するのが得意な私も、今日だけは声を大にして言える。
「頑張った！私はめちゃくちゃ頑張った！」と。
ソファの上でもぞもぞと身を捻りながらベストポジションを探して完全に横たわると、足元の方で一塊に丸めていた厚手のブランケットを手繰り寄せた。
四肢を駆使しながらブランケットを器用に広げ、体全体を覆うようにすっぽりと包まる。
肌触りの良さで選んだそれに頬を擦り寄せれば自然と笑みが溢れた。
テーブルの上のエアコンの電源を入れれば、あっという間に仮眠スペースの完成だ。
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泥濘(プロフ) - ちいさいばあばあさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。話の展開がゆっくりですが、引き続き今後の展開を見守っていただければ幸いです。 (2月25日 22時) (
レス) id: 014ca7ae0d (このIDを非表示/違反報告)
ちいさいばあばあ(プロフ) - あべちゃんとマネちゃんが付き合う事になるといいですね。 (2月14日 17時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘 | 作成日時：2024年1月25日 0時
